こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。
昨日の財政委員会では、いわゆる「宝くじ」事業が質疑対象でした。「宝くじ」による収益は、地方自治体に認められている貴重な財源であり、東京都における直近での宝くじによる歳入は約431億円にもなっています。
この収益は何に使われるのかといいますと、地方財政法第32条の規定により、公園整備などの公共事業のほか、総務省が定める省令で規定されている12の事業に充てることができます。
そして12の事業というのが国際化施策から少子高齢化対策まで幅広く、ほぼフリーハンドで使える財源になっているのが実情です。
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一方で現在、国政ではIR(カジノ)施策の進展に伴い、ギャンブル依存症対策の議論が活発になっています。
その中で、ギャンブルによって得た収益の一部は、依存症対策など直接的にギャンブルに関わる福祉の向上に充てるべきだということは、多くの有識者によって指摘をされているところです。
カジノを作って依存症対策をやる 「マッチポンプ」こそ世界標準だ (田中紀子)
例えば上記の記事で紹介されているカナダでは、州ごとにカジノでの収益の一部を依存症対策に充てることが法令で定められており、その対策費はカナダ全体で約70億円にものぼるそうです。
結果、カナダにおけるギャンブル依存症の罹患率は0.8%と、日本における同率の5分の1以下となっています。
何が言いたいかといいますと、日本&東京都でも宝くじ収益の一部を、このようにギャンブル依存症対策に充てるべきではないか?ということなのですが、ここに一つのハードルがあります。
なんと宝くじは国(総務省)の定義上、賭博(ギャンブル)ではないとされています。賭博を禁じる刑法第185条から切り離され、別途刑法第187条において賭博性の低い「富くじ」として規定されてきました。
実際、現在のギャンブル等依存症対策基本法においても、宝くじはその対象から外れています。
しかしながら、本当にそれで良いのでしょうか?実態に見合ったものなのでしょうか?
宝くじは「ギャンブル性が低い」とされていますが、現実には高額配当されるスクラッチくじなど極めてギャンブル性が高いものが存在し、宝くじを「対象外」とし続けることについては専門家からも疑問視されています。
都は現在、国と歩調を合わせる方針である旨の答弁がありましたが、国が踏み出さないのであればむしろ都から、宝くじ収益の一部をギャンブル依存症対策に充てるなど、この問題と正面から向き合うべきではないでしょうか。
もちろん都が独自に宝くじを「賭博だ」と定義することは困難ですが、独自の依存症対策に踏み出すことは十分に可能なはずです。
パチンコが数多く立地し、ギャンブル依存症患者が日本で一番多いのは間違いなく東京都です。
本件は引き続き、問題提起と政策提言を続けていきたいと思います。
それでは、また明日。
編集部より:この記事は、あたらしい党代表、東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出)のブログ2018年12月13日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。