国連のCOP24(気候変動枠組み条約の第24回締約国会議)が、ポーランドで始まった。今回の会議は、10月にIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の出した特別報告書を受けて、その対策を話し合うものだ。
この報告書でIPCCは、2030年から2052年までに地球の平均気温が産業革命前に比べて1.5℃上昇するおそれが強いと警告した。これを受けてCOP24ではパリ協定の実施ルールが決まる予定だが、先進国と途上国が対立して合意は困難だ。そもそも1.5℃上昇という目標は実現できるのだろうか。
地球の気温の1.5℃上昇は避けられない
今回NGOなどが標的にしたのは、石炭火力発電所である。街頭ではデモ隊が「石炭火力を閉鎖しろ」というプラカードを掲げ、アメリカが最新の石炭火力技術を説明する会場には、環境団体が詰めかけて怒号を浴びせた。
石炭火力が大量の二酸化炭素(CO2)を出すことは彼らの言う通りだが、それをなくすことはできない。石炭は圧倒的にコストの低いエネルギー源であり、埋蔵量は200年以上あるからだ。それに代わるエネルギー源は、今のところ天然ガスである。
「化石燃料を減らして再生可能エネルギーにしろ」というのは錯覚である。太陽光発電所の設備利用率は13%なので、その運転していない時間を補完する電源として化石燃料が必要になる。「脱原発」で再エネ比率を高めたドイツでは石炭火力が増え、EU(ヨーロッパ連合)の2020年のCO2排出目標を放棄した。
「石油があと50年でなくなる」という説は50年前からあるが、石油の埋蔵量は2000年以降に59%増え、天然ガスは94%も増えた。その最大の原因は、シェールオイルやシェールガスのような非在来型資源を採掘する技術が開発されたからだ。
他方、一時は化石燃料に代わるエネルギー源として期待された原子力は、各国で安全基準が強化されたため、建設コストが高くなって化石燃料とは競争できなくなった。今の状況が続くと、化石燃料の時代は、あと数十年は終わらないだろう。