2020大会ボランティアに「学徒動員」か?

柳ヶ瀬 裕文

こんにちは。東京都議会議員のやながせ裕文です。東京2020大会のボランティアについて。

当初、「応募者が少ないのではないか」と心配されていた東京2020大会のボランティア。12月21日に応募を締め切り、以下の応募者数だったことが明らかになりました。

大会ボランティア  186,101人(募集人数:80,000人)
都市ボランティア  36,649人(募集人数:20,000人)

募集人数を大きく超える応募があったとのこと。しかし、その募集過程で問題が発覚!

五輪都市ボランティア応募 都立高担任が「全員出して」

2020年東京五輪・パラリンピックで東京都が募集した都市ボランティアをめぐり、ある都立高校で担任の教諭がクラスの生徒に応募用紙を配り、「全員出して」と言っていたことがわかった。都教育委員会が21日、明らかにした。担任の教諭に強制する意図はなかったとする一方、「強制と感じた生徒もいるようで、説明が足りなかった」と指摘した。

任意のボランティアに対して、ある教諭が「全員提出」を求めたことで問題となりました。さて、問題はここから。せっかくの大会なんだから、地元高校生には何らかの関わりを持って欲しいと考え以下ツイート。

そうしたところ、このツイートに現役高校生の皆さん?などから、「学徒動員だ!」「それこそ強制だろ!」など、多くのご意見を頂戴しました。

お!学徒動員ですか!
戦前ですね
高校は義務教育ではないですが、教育は子どもの権利であって義務ではないですよ!

「いい経験」は自ら望んで選択し得るものであって、「いい経験が得られるから」と強制されるのは授業でも教育でもありません。さらに仕組みまで作った場合は搾取です。そんな基本的な人権も理解できていないあなたのような都議がいることを都民としてとても恥ずかしく思います。

厳しいご意見が続々と。確かに、自分のツイートを読み返してみると、誤解を招く表現があります。「高校生をタダの労働力として強制的に使用しようとしているのではないか!」と誤解を招いてしまいました。率直にお詫び申し上げます。以下、言葉足らずを補足させて下さい。

まず、2020大会の「ボランティア」は定員を超えていますし、強制的に誰かに負担を負わせるものではありません。都立高校生(対象者:約10万人)からの募集は1,204名あったそうですが、意志に反しての応募なら(自己都合でも)キャンセルできますので学校に言って下さい。言いづらければ、私のところでもメール下さい。

その上で、2020大会を、いい経験の場として活用できないか。多額のコストをかけて開催する大会なのですから、何がしかの「体験」として還元されるべき。

都立高校では「総合的な学習」という授業があり、3年間で約35時間の設定があります。時間の半分は、なんらかの「体験」をするように推奨されており、学校によって取り組みは異なりますが、地元地域行事への参加など行われています。

このような授業時間を「オリンピック・パラリンピック体験」に充てられないか。また、観戦だけではなく、運営側で体験できたら「いい経験」になるのではないか。「いい経験」は主観ですが、それを一定の合意の上で提供していくのが「教育」だと考えます。そこで、こんなご意見も。

運営の中枢で誰が何をどう動かしているのかを体験できるならば授業の一環とするのもアリだと思いますが、末端の小間使いだけなら小学生の「しょくぎょうたいけん」と大して変わらないし、高校生のカリキュラムに組込む価値は無いように思いますね〜

ごもっともですね。中枢とはいかなくても、例えば、メディアに関心が高ければ、メディアセンターで何がしかの役割を持つことで、世界中のメディアマンの様子を間近で見られる。各部活に励んでいる皆さんは、各競技会場のトップ選手をサポートする役割の一部でも担えれば、刺激になるのではないか。また、吹奏楽やダンスなど、多くの人たちの前で披露する場として欲しい。全員は不可能だとしても、希望する人は全員、何がしかの役割を持つようにできないか。

大会組織委員会では、テニス会場でのボールボーイやサッカー会場での球出しなども含め、どのような役割分担とするかを協議検討中です。

確かに、授業の一環としてしまえば、「強制」ということになり「学徒動員」とも言えます。「強制」されて楽しいことはない。ただ、他の行事で「総合的な学習」をするよりも、2020大会に参画した方が有意義ではないかと考えました。東京都及び組織委員会が募集してきた「ボランティア」は18才以上と限定されており、別の枠組みです。

とは言っても、これは私のひとつの「提案」にしかすぎません。また実際、教育委員会と話し合ってきましたが、「総合的な学習」の時間を使うのも現時点では難しそうです。

今後も、どのような還元が出来るのか、さまざまな角度から検討・検証していきたいと思います。「オリンピックなんか、関わりたくない!」という方が多くいらっしゃることも存知しています。多くの皆さんが参加を希望するような大会となるように、尽力して参りたいと思います。

多くのご意見、有難うございました!


編集部より:この記事は、東京都議会議員・柳ヶ瀬裕文氏のオフィシャルブログ 2018年12月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、やながせ裕文オフィシャルブログ「日々是決戦」をご覧ください。