2018年も投資すべきは「都心・中古・ワンルーム」だった

本日の日本経済新聞に2018年のマーケットに関する総括記事が掲載されています。それぞれの資産の年間の騰落率をグラフ化したものも掲載されています(図表も同紙から)。

騰落率の計算方法が明示されていませんので、どうやって算出したのかは不明ですが、2018年の金融市場は、ほとんど資産のリターンがマイナス。「勝者なき1年」と総括されています。グラフを見ると2018年の年間を通して上昇したのは、現金、先進国債券、新興国債券だけ。株価指数は世界46カ国・地域のうち、43市場で下落。上昇したのはブラジルやインドなど3市場だけです。

2019年に関しても、金融緩和による上昇相場は終わりを告げ、米中貿易摩擦や欧米の政治混乱もあって、悲観的な予想をする「専門家」が増えています。

しかし、これは金融市場だけを見た時の話です。

個別の株式のように投資センスが必要なものを除けば、日本の個人投資家にとって2018年に一番うまくいった投資対象は「都心・中古・ワンルーム」だと思います。

写真AC:編集部

東京23区の物件価格はジリジリと切りあがっています。また、エリアによっては家賃も5%から10%近く上昇しています。空室率は1%以下で、ほぼ確実にインカムゲインを得ることができました。借入する場合のローン金利も1%台で低位安定。5月からはオリックス銀行が、融資期間を最長45年まで延長し、40歳以下の富裕層の購入意欲が更に高まっています。

一方、同じ不動産でも一棟ものは、融資に積極的だった地方銀行が一斉に融資に慎重になり、地方物件を中心に価格が崩れ始めています。シェアハウスに関する「パンプキンショック」もあって、不動産マーケットは「都心・区分」と「地方・一棟もの」で2極化しています。

いずれにしても、金融資産だけで資産運用をする時代は終わりました。日本の個人投資家は、これからは金融資産と実物資産という2つの資産を組み合わせたハイブリッドなアセットアロケーションを実践すべきです。

「お金の専門家」と言われる人たちが、実践もしないで不動産に対する偏見を持ち、頑なに金融資産にこだわっているのは不思議です。どの投資信託を買うべきかを考える前に、金融資産と実物資産の配分を考える方が投資の成果は上がります。

不動産が絶対儲かると言っているのではありません。金融という「タコ壺」の中に籠(こも)るのではなく、幅広い目線で、リスクの異なる資産を組み合わせることをもっと意識すべきだということです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2018年12月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。