消費税の引き上げがいよいよ迫ってきました。将来の日本のありようを考えれば、社会保障財源は必要不可欠であることは言うまでもありません。財源を用立てるということは、利用者負担を増やす、増税する、行革で捻出するということです。衆議院議員に初当選した頃、小泉行革時代に進めらてきた骨太方針では、年2000億円を医療・年金・介護等から抑制することを進めていました。国全体からの行政改革だけではなく、増大する社会保障費用そのものからの削減も進めていたのです。僕は小泉行革の真っ只中で、衆議院議員としての活動を始めたということになるのです。
利用者負担の増加、増税は避けられませんが、それだけで解決できるものではありません。何故ならば、この2つで解決しようと思えば、働くモチベーションが維持できない負担環境に追い込まれることになるからです。社会全体が、特に社会保障関連が、生産性、効率性を高めるために、そして人が人たるべき人間性を取り戻すために、デジタル社会に振り切る事が大切なのです。その根幹がマイナンバー制度であり、その先兵がマイナンバーカードです。
医療財源が厳しい状況にあるなら、不正利用を防ぐためにマイナンバーカードと健康保険証の一体化を早期に進めなくてはいけません。保険証には写真が無く、貸し借りが生じています。会社を辞めていても掌握できず、社員としての保険証を使えます。在宅医療・介護を進めたくとも患者データの共有化が進まず、非効率が生じています。診察券、お薬手帳を含めたデータ連携はマイナンバー制度を使えば実現出来るのです。医療機関ごとに行う検査データも1回検査すれば、それを他の医療機関も使えば良いだけです。
保育を必要とする優先順位もマイナンバー制度により、勤務状況、収入、居住状況等のバックヤードのデータ連携で公平に決めることが出来ます。そして、状況が変化すれば瞬時に掌握することも出来ます。社会保障、教育に関する数ある複雑怪奇な補助制度、その相談窓口運営、申請受付、管理、決済手続き、それらも紙で人が対応し、平日の広間に役所の窓口で申請するのです。これもマイナンバー制度を使えば、バックヤードで処理し、担当する行政職員を大幅に減らすことが出来ます。社会保障費用は、実際に対象者に提供されるサービスとして使われていない、見えない間接費が沢山あるのです。
消費増税に伴う緩和策は、経済を考えれば、あってしかりと思います。だからこそ、この機会にデジタル社会に振り切ることを前提に制度設計がなされるべきと考えます。それはつまり、マイナンバーカードの普及以外にありません。プレミアム商品券という発想も良いでしょう。でも、紙で商品券を印刷するのではなく、マイナンバーカードで買い物が出来るようにすればよいはずです。
クレジットカード決済でのポイント還元も同様です。マイナンバーカードが普及していないので、現実的に難しいと必ず言われます。だからこそ、この機会に普及して消費増税緩和策を実現すべきなのです。今を見た対応でなく、将来を見据えた対応こそ、今行うべきと思います。デジタル社会の入り口に立っているからこそ、将来あるべき姿に向かって1歩づつ前進することが、次世代に対する責任と思います。
来年4月からスタートする特的技能制度によって来日する外国人も、日本に住む際にマイナンバーカードを是非とも持ってもらいたい。そのための誘導策も政府には考えてもらいたいが、さて、どうなることやら・・・。
編集部より:この記事は元内閣府副大臣、前衆議院議員、福田峰之氏のブログ 2018年12月29日の記事を転載しました。オリジナル記事をお読みになりたい方は、福田峰之オフィシャルブログ「政治の時間」をご覧ください。