年始から急激な円高になっています。1月3日の外国為替市場で円相場は、一時1ドル=104円台後半まで上昇。107円台での取引が続いています。
円高の要因は薄商いの中のアップルの決算がトリガーになったなど、日本経済新聞には様々な解説が掲載されています(チャートも同紙電子版から)。解説記事を読みながらいつも不思議に思うのは、メディアに掲載されているエコノミストやアナリストといった「プロ」の見方です。
例えば今回は、メガバンクのチーフマーケット・エコノミストと、別のメガバンクのチーフアナリストという2人が3月末までの予想レンジを掲載していますが、それぞれ1ドル=104~111円と1ドル=103~111円と「予想」しています。
しかし、これは円高になってしまった現状の為替レートである107円台を上下に4円づつ広げただけの数字。円高になってから、後講釈でこんなレンジを提示されても・・・という感じです。
エコノミストやアナリストといった仕事は、経済やマーケットの分析をするのが仕事ですが、自ら投資をしてリスクを取っている訳ではありません。予想をして、当たっても外れても、その理由を論理的に説明できれば良いのです。評価のポイントは説得力。つまり、求められているのは、池上彰氏のような説明能力です。
このように専門家の意見と言っても、リスクを取らない人のコメントですから、投資判断の役に立つとは思えません。後講釈で納得するために必要な情報しか得られないのです。
日経平均が2万円になると、予想レンジは18,000円~22,000円。1ドル=107円になると、予想レンジは103円~111円。後からそんな風に修正するのなら、誰でも「専門家」になれます。
ただし、同じ金融の専門家でも、ファンドの運用責任を負っているファンドマネージャーは、自らの判断でリスクを取って運用します。そして、自分が担当するファンドの運用成績が、結果として出てきます。後講釈で何を言おうと、結果が全て。結果が出るかどうかは別としても、リスクを取っているという点では、同じ専門家でも、立場は随分違います。
同じ船に乗って、リスクを取っている専門家と、ノーリスクで対岸から眺めているだけの専門家。どちらの話を聞くべきかは明らかです。
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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2019年1月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。