辞めても原則「補欠選挙」なし。地方議員が民意を問い直す難しさ

こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

一昨日の都民ファ都議3名の離党を受けて、「都議選は党の看板で当選したのだから、離党するなら議員辞職して民意を問い直すべきだ!」というご意見が、ネット世論のみならず同会派の議員からも出されているようです。

私自身も一昨年に離党した際に指摘されたことでもあります。

国政選挙における比例代表制度と異なり、中選挙区制である地方議員は名前を書いてもらって当選しているので、離党=即辞職というのは必ずしも当たらないと個人的には考えていますが、政治的倫理はひとまずここでは置いておきます。

では前述の都議が主張するように、地方議員が辞職して自ら「民意を問い直す」ことができるのでしょうか?

残念ながら首長や国会議員と異なり、これは多くの場合で制度上不可能です。

選挙区で一人しかいない首長や国会議員は、何らかの事情で辞職・欠員となれば即補欠選挙が行われますが、地方議会議員の場合は規定が異なります。

公職選挙法上113条の規定により、中選挙区制度を取る都道府県議会議員の場合は、定数1人の選挙区では欠員が生じるごとに補欠選挙が行われるものの、定数2人以上の選挙区では欠員が2人以上に達したときのみ行われます。

なので定数が「1」てある千代田区や中央区・島しょ部などのわずかな例外を除き、都議が辞職して「民意を問おう」としても、補欠選挙自体が行われないというわけです。

なお、例外規定として地方議員選挙の前に首長選挙が行われ、その際に欠員が生じていた場合は、首長選と合わせて補欠選挙が実施されることになっています。

仮に今回、都議会で辞職者が出るとすると、補欠選挙は1年以上先の2020年都知事選の際に行われることになります。

以上、いくつか私にも問い合わせがあった、地方議会の補欠選挙の仕組みについて解説いたしました。

ちなみに大選挙区制度を取る基礎自治体の議会の場合、全体の「6分の1」以上の欠員が生じると補欠選挙が行われることになります。

もちろん私も含めて、任期中に所属政党を変えることについては、厳しい意見があることを承知しております。民意を問い直すことが難しいからといって、これ幸いと離党してそれで良しと思っているわけでは決してありませんし、それは今回行動を起こした3名も一緒ではないかと思います。

その点も含めて、「政党ではなく、公約や有権者に義を通した」政治姿勢を次回選挙で厳しく審判いただく他ないと考えています。

信頼を取り戻せるのは行動のみであると私自身も肝に銘じ、新たな選択をした議員たちの活動を厳しく注視していただければ幸いです。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は、あたらしい党代表、東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出)のブログ2019年1月8日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。