今週のつぶやき…為替、目途がついたゴーン氏、北朝鮮

あまりニュースがなかった一週間の中で経営者として覚醒させられたのが「ラスク」というお菓子を生み出したシベール社が民事再生を申請したことでしょうか?ジャスダック上場の小さな会社ですが、多くの人がデパートのお菓子売り場等で一度は見たことがあるであろうあのラスクの会社がなぜ、倒産したのでしょうか?現社長は銀行出身。そしてそのコメントは「贈答の習慣が変化し、ライバルが登場しても成功体験から抜け出せなかった」。うーん、日本市場の難しさということでしょう。日本のお菓子市場はレッドオーシャン。流行は2年と考えて一本足打法ではなく、8本足のタコ足打法の経営が求められるのかもしれません。

では今週のつぶやきです。

気になる為替

正月に一気に104円台を付けたドル円相場ですが、じりじりと円安に逆戻りしています。専門家に聞いてみたいのですが、なぜ今、円安になるのか理由が見当たりません。ひょっとすると武田薬品のシャイアー買収にかかる円売りの実弾もあったのか思いますが、1月7日でシャイアーの株式は上場廃止になっています。

為替の専門家の見方は誰もが目先、円高を想定しています。私も1月4日のブログで105-100円もあるのではないか、と書かせていただいたのですが、最近の専門家の見方はこんなものではなく、多くは100円割れから95円、元日銀理事に至っては80円台もありうるとしています。

理由はアメリカの利上げサイクルはほぼ頭打ちとの認識が強く出てきたことで円が買われる要素が強くなりますが、日銀の効果ある金融政策手段が限られることから結果として円高を生む、というシナリオです。また、世界で不和があればすぐに円に飛びつきます。私は2019年の為替は要注意だと思っています。

目途がついたゴーン氏をめぐる戦い

一時、フランス政府やルノーと不信感すら生まれそうになったゴーン氏をめぐる問題ですが、ゴーン氏の不正が暴かれ、その証拠が出つつある現在、勝負あった、と見ています。ルノーの筆頭株主であるフランス政府が同社に対してゴーン氏の後継者を探すように、と意見し、同社もそれを受けて最終調整に入っています。

昨年11月8日、ルノー工場を訪れたマクロン大統領を案内するゴーン氏(フランス大統領府動画より:編集部)

泣く子も黙る東京地検特捜部の力を見せつけた形となりました。本当に怖いです。

会社における公私混同は広く当たり前にあると考えてよいでしょう。大手企業や上場企業になるとコンプライアンスの関係でできないため、福利厚生というルール設定でお手盛り型のプラスアルファをします。中小企業に赤字が多いのも個人経営の会社が税金を払わないのもそれはルール不在で会社のお金と社長の給与や私費のお金が入り乱れるからでしょう。私も30年近く経理を見て来ています。かつてかかわった会社やいろいろな話を聞く限り、本当にいい加減なものです。(というより、経営者が経理のルールを知らないといった方がいいかもしれません。)

ところがルノー/日産の場合は絶対君主がルールを自ら作り、取り巻きがそれを支える構図があったわけです。こんな話は他社でもほじくればいくらでも出てくると思いますが、たまたま「ルノーによる日産吸収の画策」があったため、ゴーン氏が標的にされたということでしょう。思い出してください、昔、公私混同してお辞めになった都知事もいらっしゃったではないですか?目立つ人ほどリスクは大きくなる、ということです。

騒がしくなりそうな朝鮮半島情勢

北朝鮮の金英哲朝鮮労働党副委員長がワシントン入りし、トランプ大統領、ポンペオ国務長官と会談を行いました。北朝鮮は相変わらずアメリカと駆け引きを試みているのですが、トランプ大統領の本心は金正恩委員長を子ども扱いして我儘な子をどう黙らせるか、ということに腐心しながら自らのポイントゲットに勤しんでいるようです。

会談の時期は私は以前にあっても4月以降と意見したと思いますが、2月末になりそうだと速報されています。3月1日が期限の中国との通商問題解決が先決で北朝鮮問題は中国との外交議論抜きにはやりにくいと思われます。2月末の会談なら片付けるものを片付けてから、というスケジュール感に変わりはない気がします。逆に言えば仮にトランプ大統領から金委員長との会談の日程がそこまで具体化してきたということは中国との貿易交渉に一定の解決の目途が立ってきたという裏返しでもあります。

そうなると春の目線はどうしても朝鮮半島に向かいます。そしてお隣の文大統領は必死に金委員長にアプローチをかけ、「うちに遊びに来て」と誘いをかけるでしょう。その共通テーマは「日本って本当に嫌な国だわ」で盛り上がりそうです。一方、文大統領が北朝鮮に関して機嫌が悪いという話もあります。金委員長から「上下関係」を示されたため、とも言われていますが、事の真相はさて、いかに。

後記

先週のこの項で稀勢の里が男を見せるか、と書かせていただきました。が、ダメでした。蚤の心臓と言われてきましたが横綱までは昇進したのに、です。大関の頃は格好良かったですよ、顔が引き締まっていて勝負に挑む感じがありました。横綱になってからは目がうつろ、全然違っていました。ご苦労様、なのでしょうけれど、引け際の難しさも見せつけました。そんな中、彼を横綱にしたことがやはり間違っていたのでは、という声は当然出て来そうです

では今日はこのぐらいで。良い週末をお過ごしください。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年1月19日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。