辺野古移転に反対する憲法学者先生方へ

琉球新報によると、憲法学者の先生方が24日にも沖縄・辺野古への基地移転に反対する声明を出すという。賛同する先生方は、20日時点で126人を数えるそうだ。

私はまず、当時の鳩山総理とその重鎮に話を聞くべきだと思うし、太田県知事と橋本元総理の間でどういったやりとりが実際にあったか、当時の名護市長が辞任した理由、現在の宜野湾市長が何を考えているかを聞くのが絶対的に最初にあるべきだと思う。

だって、国の安全保障の面から言えば、辺野古移転はやむを得ないって、鳩山総理自身が結論づけたはずだ。

辺野古基地予定地(編集部撮影)

どうして学者の皆さんは、学者、って立場にものすごいプライドを持っていて自分たちの机上の空論を押し付けるのでしょうか。現場に行って様々な立場の人たちに話を聞いたらどうなのか?

野党の一部、地元の市民活動家の一部が、学者、ってだけの地位にありがたみを持って、学者先生たちの意見をありがたがって拠り所にしていることも知っている。だけど私は科学者として彼らを認めることはできない。

全ての社会科学は、実地に依り、現実を見つめるべきで、社会科学者は、自分の発言で世の中がどう影響を受けるを常に考えるべきだ。今の憲法学は、人文科学だ。人文科学だって、ポストモダン論争を経て、文学と世の中の関わりを考えてきた。いったい、憲法学者は何をしてるのか。

憲法は聖典なのか?神の啓示か?違うでしょう、人間が考えた、法の体系の一つであろう。人間が考えたものは、人間が変えていけるんです。あなたがたの論理から言うなら、ハムラビ法典は未だに生きていなければならなかった。

もちろん、戦後、我が国をGHQ支配下に置き、軍事力を持つ力を事実上封じてしまった日本の状況に、朝鮮戦争の際に一番困ったのは、当の米国です。日本を朝鮮戦争の軍事拠点とするために、米国は、9条改正を吉田茂首相に求める、という、非常に身勝手な要求をしてきた。戦後債務を抱え、敗戦の記憶生々しい日本の状況を鑑みて、それを断固として聞き入れなかった吉田茂首相の慧眼には賛否両論ある。それにより、日本は戦後、憲法改正に踏み切ることはできなくなった。

しかしだからこそ、米国との関係が日本の軍事的生命線ではないか。

あなたたちは、日米関係に亀裂が生じたときに、いったいどのような責任を取ってくれるのか。全く取らないのでは?じゃあ憲法9条を改正して独自の軍事力を持とう、とかお日様が西から昇ったって考えないわけでは?それは政権与党の責任、とか、両国で何とか落とし所を見つけてよ、とか、のうのうと宣うわけでは?

いま、日韓関係が最悪の状態にある中で、日米の同盟が壊れることが、どのような影響を及ぼすのか、考えたことがあるのか。どうせあなたがたは、日米韓がもし最悪の状況に陥っても「三か国で落とし所を見つけなければ」とか言って、日本政府を批判するだけだろう。

私は、社会科学者は、社会に対する責任を負っていると思う。学問だけで世の中と隔絶した象牙の塔じゃダメだ、との問題意識から、20数年前、慶応大学は、牛と白菜畑しかない、牛舎の香り漂う藤沢の田舎に、科学と社会の関わりを先端技術によって解決していく学部を設立した。

いま、辺野古移転に物申している学者先生たちは、まだ20年以上前の感覚にいるとしか思えない。
社会科学は、社会と全く関係ないのか。実学と社会科学は無関係なのか?

私は、この先生たちに、猛省して欲しい。

この際、一度、慶応藤沢キャンパスに入学し直してみてはいかが?

河井 あんり 広島県議会議員(広島市安佐南区選挙区、自民党)
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 修士課程修了。(財)海洋科学技術センター(現・海洋研究開発機構)地球フロンティア研究システム、科学技術振興事業団(現・科学技術振興機構)、広島文化短期大学非常勤講師を経て、2003年初当選(現在4期目)。公式サイト