それでも、眞子様のご結婚成就を願うたった一つの理由

秋月 涼佑

金銭問題「解決済み」 小室圭さんが文書公表、説明不足を謝罪も(産経新聞)

この小室圭さんの文書が発表された直後に、くだんの「男性」サイドから反論のコメントが出るなど、さらに混迷の度合いを高めそうで、本件ますます心配な状況である。

宮内庁サイトより:編集部

すでに本サイトでも大変リスペクトする“八幡和郎氏”がオピニオンを出されるなど、今後も多くの議論を巻き起こしそうだ。

小室圭氏の見解を発表:借金返す気なし

“公”を常に“私”に優先させる心、質素、丁寧、誠実と数え上げればキリがない美徳をお持ちの我が愛すべき皇室。その一員であられる眞子様の結婚相手として、小室圭さんが相応しいかどうかと言われれば不安と懸念は多くの人と私も同様である。しかも、それが今回発表された文書ですべて払しょくできたとは言えない。

とは言いながら、世の中やメディアのバッシングの厳しさを目の当たりにし、このまま眞子様と小室氏の双方に結婚したいという意志がありながらも叶わなかったときの未来を考えると、正直心が痛む。

結婚を強く希望している若い二人の夢が実現しないのが、単純に気の毒だと思うからだ。

また、日本の国のありようとしても少し非寛容の度が過ぎるのではないかとの思いもある。

これが、一般人同士の二人だったら結婚の実現に問題はなかっただろう。

ちょっと生活力足らずで、学生の頃ははしゃぎ過ぎの男はいくらでもいる。若い時分から完璧な人間などそうは多くないのではないかと、自らや周囲を省みても思わずにはいられない。

おまけに女手一つで子育てをしたお母さんが、ちょっと派手好きで過去いろいろあったようだと。

勿論、それを是とするわけではない。ただ、世の中探せば大小様々な事情を抱えた家庭があるだろうし、むしろ苦労を察する部分もありはしないだろうかと思うのだ。

眞子様は一般人ではなく皇族だからと言う人は多い。しかし、皇室に対してこうあるべきと考える姿を、我々一般の国民が無制限に押し付ける権利などあるのだろうか。

基本的人権の制限と、皇族方の自己犠牲の精神

天皇をはじめとする皇室の方々は、その特殊なお立場から日本国民に等しく認められる基本的人権を現実的に一部制限されていると考えられている。まず、日本国憲法4条の天皇の項で「国政に関する権能を有しない」との定めから、表現の自由(21条1項)や学問の自由(23条)が制約を受けている。

そして居住、移転の自由(22条1項)も、信教の自由(20条1項)も実質的な制約があるだろう。

そして何より私が大変だなと思うのは、職業選択の自由(22条1項)についてほとんど選択の余地がないことである。

宮内庁サイトより:編集部

東大法学部やハーバード、オックスフォードで学ばれ外務省キャリア職という最高レベルのキャリアから皇室に入られた雅子様にご葛藤があったことは察するに余りあるし、そもそも皇族として生まれた方には公務を前提にした選択しか与えられないわけである。

宮内庁サイトより:編集部

職業選択こそが自己実現の第一歩と考える現代社会にあっては、かなり個人としての葛藤を生む状況ではないだろうか。

先日の天皇陛下85歳お誕生日の会見で私が一番感動したのは、「私は即位以来、日本国憲法の下で象徴と位置付けられた天皇の望ましい在り方を求めながらその務めを行い、今日までを過ごしてきました。」というお言葉であった。

私は、この言葉に天皇としての重い役割への真摯な眼差しと、それを果たすための並々ならぬ自己犠牲の精神を感じずにはおれなかった。

こと結婚について、皇族といえどもできる限り本人の意思を尊重してあげられないのだろうか。

憲法第24条「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、」で始まる結婚の自由について、天皇(及び皇位継承者)については現実的に保障されていないという解釈が、日本国憲法2条で「皇位は、世襲のものであつて、」とされていることから成り立ちえる。

しかし、結婚後民間に降嫁される場合にどの程度の制限が許容されるかは、事例が少ないこともあり少なくとも法的に明らかではないだろう。(皇族がそもそも戸籍をもたないという問題もあるが、少なくとも戸籍がないゆえにご本人の意思が尊重されるべきでは無いとなって良いわけがない。)

であれば、いかに現皇族であっても、「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、」という憲法の精神になるべく沿って行うべきではないだろうか。

これが表題の問に対する私の考え方である。

ちなみに、皇室の取材経験が多い、池上彰さんもそうおっしゃてる(ニュースポストセブン)。

まして一方の小室さんは民間人である。当然基本的人権は最大限保障されるべきだろう。

本当に、彼を全否定できるほどの人はどれぐらいいるのだろうか。

皇族のお相手が一部のエリートやましてかつての華族に限られていた時代に逆戻りして良いのだろうか。

眞子様の結婚相手を決めるのは、週刊誌でもくだんの”男性”でも、まして我々でもないだろう。

まず、眞子様と小室さんの意志ありきであり、今回の文書発表では少なくとも小室さんの意思に変わりないことが確認されたのであるから、一定の重みをもってとらえたい。(追記:眞子様もこの文書を事前にご覧になられているとの報道もあり、事実ならばなおさらだ。)

そして、一方の眞子様についても。いかに我々国民の願いや期待を一身に背負われ自己犠牲に徹してらっしゃる皇族の方とはいえ、無制限に我々の願望を投影して良いとは思えない。

少なくとも私は、眞子様が悲しむ姿は見たくないと考える一人である。

秋月 涼佑(あきづき りょうすけ)
大手広告代理店で外資系クライアント等を担当。現在、独立してブランドプロデューサーとして活動中。