何もしないと立ち枯れていくことは必至だろうから、国民民主党の玉木さんが小沢氏と組もうとしているのは決して悪い戦略ではない。
毒にも薬にもならない凡百の国会議員が何人かで徒党を組んだくらいでは何のインパクトも与えることが出来ないだろうが、賞味期限が過ぎたなどと言われても、小沢氏は小沢氏である。
この人の毒は、強烈である。
毒も、使いようでは薬になる。
玉木さんに小沢氏という毒を使いこなす器量があるかどうかが試されることになる。
小沢氏の毒気に当てられないようにしながら、小沢氏を使いこなせば、国民民主党は一枚皮が剥けた、ということになるだろう。
国民民主党の当選1回の若い国会議員の方々にとっては、小沢氏はほどほどの教材になる可能性がある。何しろ小沢氏は政治の表も裏もよく知っている人だから、政治経験が浅い人は小沢氏から学ぶことは多いはずである。
小沢氏は、田中角栄直伝の人たらしだとも言われているようである。
国民民主党の若い国会議員の方々にはナイーブな方が多いだろうから、うっかりすると小沢氏に誑し込まれてしまうかも知れない。
玉木さんもかなり純情なようだから、さて、小沢氏と組んでご自分の立ち位置を最後まで維持出来るかしら、という一抹の不安はある。
まあ、国民民主党全体が小沢氏に簡単に呑み込まれたり、丸めこまれたりすることはないだろうが、一定のリスクはある、ということは承知されておいた方がいいだろう。
小沢氏は、金の使い方が上手だとも聞いている。
まあ、これこそ田中角栄直伝の得意技なんだろう。
田中角栄は、自分で金を集め、自分の金をこれぞという相手にばら撒いたと言われている。
選挙に強い人の特徴は、金の使い方も人の使い方も人並み優れている、というところにあるのだろう。
報道ベースでは、小沢氏を幹事長に、などという話もチラホラ出ているようだが、まあ、それだけは止めておかれることだ。金と人事を握ったら、簡単に国民民主党を乗っ取ることが出来る。
小沢氏を呑み込んだつもりが、実際には小沢氏に呑み込まれていた、ということになりませんように。
お節介ながら。
小異を捨て大同につく、という言葉があるが、玉木さんと小沢さんの共通点はどこ?
私は、それとなく国民民主党の中のいわゆる「ゼロの会」のメンバーの応援をしているので、「ゼロの会」の方々の成長起爆剤になりそうなことだったら何でも受け容れようと思っている。
玉木さんに注目しているのは、玉木さんがゼロの会のメンバーと親しくしており、いい兄貴分の役割を担ってくれていると思っているからだ。まあ、他の野党にはなかなか適当な人がいそうにないから、その分ゼロの会や玉木さんに期待してしまうところがあるのは否めないが、いつまで経っても国民民主党の支持率が1パーセント台から上がってくれないのでやきもきしていたのは事実である。
このまま行ってしまうのかな、と思っていた時に、昨日の小沢さんとの合流話が飛び込んできた。
おっ、と驚いた。
驚いたが、小沢氏にとっては棚から牡丹餅みたいな話ではあるな、場合によっては、国民民主党にとっても起死回生の一手になる可能性はあるな、と思った次第である。
もっとも、こういう話がトントン拍子に行くとは考えていない。
あちらこちらでハレーションを起こすだろうな、と思っている。
私の周辺では、小異を捨てて大同につけ、このチャンスを逃すな、という声が大きい。
しかし、国民民主党の中堅以上の国会議員の間では、小沢氏は「危ない人」の扱いのようである。
その男、危険につき近寄るべからず、というところか。
危ないから、それだけ力がある、ということだろう。
ゼロの会のメンバーの成長の糧になるのだったら、私も特に反対しない。
何しろ、小沢氏は、私の頭の中では「選挙の神様」の一人だから。
もっとも、玉木さんと小沢氏の間にどういう共通点があるのか、大同につく、という「大同」の中身は徹底的に追求した方がいいだろう。単なる選挙互助会に堕することがないようにしていただきたい、というのが、私の目下の注文である。
事が成るのか成らないのかまったく分からないが、とにかく玉木さんや小沢氏の動きから目が離せなくなったのは間違いない。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2019年1月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。