2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えて、日本でも鉄道駅での手荷物検査が検討されてると報道されました。
思い起こせば昨年6月、走行中の東海道新幹線車内で男が刃物を振り回し、狙われた女性をかばった男性が亡くった悲惨な事件が起こりました。この事件をきっかけに、オリンピック・パラリンピック開催前、あるいは開催中に何かあっては困るということで政府が検討を始めたのです。
海外では鉄道利用時の手荷物検査を実施している鉄道もありますが、まだ少ないように感じます。例えばイギリス(ロンドン)とフランス(パリ)を走るユーロスター、私も乗車したことありますが、確かに手荷物検査が実施されていました。しかし、この路線は国際線です。他にはフランス国鉄(SNCF)が運行する高速鉄道(TGV)で、パリ(フランス)からリヨン(フランス)まで乗車した時は、手荷物検査が実施されていなかったと思います。
今回、他の高速鉄道を調べてみたところ、スペインのAVE、中国の中国高速鉄道、そして上海リニアでは、手荷物検査を実施していることがわかりました。いずれも、発車時刻の30分〜2分前までに改札と手荷物検査を受けて構内に入る。改札は事前に終了する為、駆け込み乗車はできません。そして構内にある待合室で待機、いわば飛行機に搭乗する手順と同じような感じです。ついでに言えば、中国の場合、チケットを購入する際にフルネームをパスポートなどの写真付身分証明書で確認をしてから発券するセキュリティ対策もあるそうです。
上記に述べた事例は全て『高速鉄道』ですが、調べていく中で驚いたのは、中国の上海地下鉄です。高速鉄道ではない、上海地下鉄でも手荷物検査を実施しているそうです。1日1200万人が利用する上海地下鉄、当然、通勤や通学で使用される路線ですから、上海市民は手荷物を極力持ちこまないそうです。
ヨーロッパの場合は空港なんかでも、「セキュリティ確保の為だったら仕方ない」と、協力的です。しかし、中国の場合は「セキュリティのためなら『人権』はどうでもいい」と感じます。
さて、今回報道された共同通信の記事に私は驚きました。
今回、日本でも鉄道駅で手荷物検査の実証実験が検討されているのですが、駅の候補はどこだと思いますか。
それは、東京メトロの『霞ヶ関駅』と書いてあるんです。
霞ヶ関駅と言えば、通勤ラッシュ時には人でごった返す都内の主要駅です。私もこの駅利用したことがありますが、手荷物の中には常にパソコンは入ってるし、時にはベットボトル飲料も入っていたりまします。てっきり、実施駅は新幹線の駅と思ってましたので、驚きです。
いずれにしても、昨今の新幹線車内では警備員が巡回しています。大きな事件なら尚更ですが、マナーが守れない人や社会のルールが守れない人が増加すれば、それだけコストがかかる。そうなれば、最終的には我々の運賃や時間をロスすることに繋がってきます。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年1月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。