東京都予算案発表:耳障りの良さの裏での膨張に危機感

先週金曜日定例小池知事定例記者会見があり、平成31年度予算案が発表されました。詳細はこちら「小池知事「知事の部屋」/記者会見(平成31年1月25日)」をご覧下さい。また都民の皆様におかれましては皆様の血税でございますので、予算案詳細の平成31年度(2019年度)東京都予算案の概要をじっくりと精読をお願いいたします。

新年度予算案を発表する小池知事(都知事公式FBより:編集部)

アレコレといかにも都民の為と、耳障りは良いのですが、端的に予算が膨張していることに大きな危機感を抱きました。以下、浮かれてばかりいられない予算編成について、都議会会派「自由を守る会」幹事長談話としてとりまとめましたのでご一読ください。

こんなご時世に過去最大予算

平成31年度予算は、「東京2020大会を推進力とし、東京が成熟都市として新たな進化を遂げ、成長を生み続けられるよう、未来に向けた道筋をつける予算」と位置付けられています。

全会計合計は、前年度対比3.6%増の14兆9594億円、一般会計歳出総額7兆4,610億円、前年度対比4,150億円の増で過去最大、税収は2,700億円増の5兆5,032円とこちらも過去最高に迫る水準となっております。東京都は、持続的成長に向けた気候変動対策、「一人当たりの都内総生産」向上、働き方改革の施策と、小池知事就任以来推進している「セーフシティ」「スマートシティ」「ダイバーシティ」に基づいた新旧事業を展開するとのことです。

昨年は日本全国で深刻な災害が相次ぎ、豪雨、高潮等対策に、1,598億円、木蜜住宅の不燃化耐震化、無電柱化の推進等防災対策は約3000億円ということで密集住宅も多い東部低地帯江戸川区選出でもある上田としても都とともに重要視するものです。

奇しくもほぼ同額予算を東京2020大会開催に向けて準備に計上、東京都の負担額は2020年度までに1.4兆円も必要となるとし、これはあくまでも見込みとのことで当初よりも膨張し続ける大会経費に関しては、担施設建設後継続して発生するであろう維持費も鑑み都民の負担増憂慮するものです。

膨らみ続ける社会保障費

社会保障費に至っては毎年平均300~400億円で増加し、今後25年で累計約10.8兆円増加する見込みです。社会保障費は、平成19年度からこれまで、平均して、4.42%増加し続けています。

仮に平成29年度の法人二税1.8兆円を一定とし、これから福祉費が4.42%増え続けるとした場合、2028年には「法人二税≒福祉費」 という計算になります。

つまり、税収だけ見ていれば東京都において約9年後には、都税収入の約34%を占める法人二税で、福祉費用が賄えなくなるということです。(過去blog決算審査で問うてみた「東京都は借金を返せるのか。」ご参照)

今後25年間これら主な財政需要の合計は、今後25年間、毎年平均約6,400億円増加し、その累計は16兆円という巨額を見込んでいます。2025年現在約800万人と言われる団塊の世代が75歳である後期高齢者を迎え、現在1,500万人程度の後期高齢者人口が、約2,200万人まで膨れ上がり、全人口の4人に1人は後期高齢者という超高齢化社会が到来します。

財政需要に税収が追い付かない

追い打ちをかけるように、平成31年度税制改正による「悪影響」により、2021年度以降都は3,799億円総額8,757億円の減収となります。都は事業評価を進め平成29年度は、各事業の効率性・実効性の向上を図り約900億円、平成19年度以降累計1.3兆円の財源確保に努めたことや都債残高を圧縮したことは評価いたしますが、巨額の財政需要の前には焼け石に水ではないでしょうか。

都は毎度「都債や基金を計画的かつ戦略的に活用することで財源確保」「弾力的な財政基盤の堅持」で対応するとしておりますが、すべきことは、税収が増えたからといって予算を増額することではないはずです。

実際、小池知事就任直後の平成29年度予算は前年度6,018億円4.4%減の13兆542億円一般会計予算規模は0.8%減の6兆9,540億円と5年ぶりの減を実現しています。今般も、減額すべきであったと考えます。予算審査にあたり、小池都政誕生の原点にもどり、都民最優先の都政を実現するために、今を生きると都民、将来を生きる都民のための負担を、今この時から可能な限り最小化する努力を続けることを強く求めていく所存です。

お姐総括!

予算案においては、小池知事を唯一最初に応援した時から政策提案していた「保育園待機児童解消及び多様な保育サービスに向けた取り組み」として、昨年より約10%増の1,745億円(とはいえ、オリパラ都の総負担費1.4兆円の1割…)割いています。

未来の納税者を納税しながら育ているワーキングマザーはかねてより「金の卵を産む金の雌鶏」と言ってきました。保育は福祉ではなく、経済のボトルネックなので、即効性のある投資なのです。(お姐の主催する江戸川ワークマムは今年で設立20年。ベビーブーマーの子ども達が生産可能年齢だった20年前にとっと保育政策をやっていたら本当にずいぶんと違ったのに!!)

この点は評価するものの、怪しげな新しい癒着とも思えなくもないベンチャー、NPOへの補助金バラマキなどには注視してまいります。

兎にも角にも、全体を通して言えることは、江戸川区議時代から喉を枯らしていってきたことに尽きます。

入るを量りて出ずるを為す!

→収入を計算して、それに見合った支出を心がける。財政の心がまえの言葉。(Weblio辞書より

そこんとこ、4649!


編集部より:この記事は東京都議会議員、上田令子氏(江戸川区選出)のブログ2019年1月26日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は上田氏の公式ブログ「お姐が行く!」をご覧ください。