韓国の非論理的行動の根源を論理的に見切る

藤原 かずえ

観艦式における旭日旗禁止事案、慰安婦財団解散事案、いわゆる「徴用工」訴訟事案、レーダー照射事案など、韓国政府の日本に対する極めて理不尽な行動が顕在化しています。韓国がこのような異常な行動を選択するメンタリティは一見理解不能ですが、心理学的な観点に立てば、その行動様式には一貫性があります。この記事では、韓国社会の歪んだメンタリティを表現する心理学モデルを用いて異常な行動を解釈してみたいと思います。

写真は産経ニュースから引用

写真は産経ニュースから引用

個性の心理モデル

心理学において個人の【個性 individuality】は、一般に【性格 character】【人格 personality】【気質 temperament】という3つの要素で構成されるモデルによって記述されます。このうち「性格」は遺伝などによって先天的(生得的)に与えられる個性であり、「人格」は個人が置かれた環境によって後天的に獲得される個性です。また「気質」は外部からの刺激に対して反応する個性であり、先天的に与えられると考えられています。

この心理モデルは、個人の個性と同様、個人が集合したグループの個性を記述する際にも適用することができます。この記事では、「韓国国民」で構成されるグループである「韓国社会」の個性をこのモデルを用いて分析していきたいと思います。ここで、グループの個性は【集団思考 groupthink】によって【極性化 group polarization】することがあり、構成員個人の個性とは必ずしも一致するものではないことに留意が必要です。今回の考察で対象とするのはあくまでも韓国の「社会」であり、韓国の個別の「国民」ではないことを明確に断っておきます。

さて韓国の個性を考えるにあたって、個性の3要素の内、先天的に与えられる「性格」「気質」は過去から現在に至るまでの韓国国民が経験してきた長期的な歴史に影響を受けるものであり、後天的に与えられる「人格」は現在の韓国国民が経験した短期的な歴史に影響を受けるものと考えられます。この記事では、この因果関係を基本にして分析していきます。なお、この「個性」の概念はときに「人格」という言葉で置き換えられます。例えば【人格攻撃 ad hominem】というタームを構成している「人格」はこのケースでは「個性」を意味します。このような混乱を避けるため、この記事では「個性」の要素としての「性格」を「キャラクター」、「人格」を「パーソナリティ」、「気質」を「テンパラメント」と表現することにします。

キャラクター

それぞれの国(「民族」ではないことに注意)には固有の歴史があり、その長期的環境において生存していくために有利な特性がキャラクターとして社会に優勢に根付いていくことになります。韓国の場合は、不幸にも中国・モンゴル・ロシアといった大陸の大国に近接する小国として劣等感を感じる絶望的な環境を長期にわたって強いられました。
このような環境において醸成されるのが【ルサンチマン ressentiment】の感情です。[先回記事]でも書きましたが、人間には、権力者は悪の存在であり権力者に対峙する者は善の存在であると断定することで道徳的に優位に立って権力者を不合理に見下す【畜群 herd instinct】という本能が存在します。ルサンチマンとは、この畜群の原動力となる妬み・憤慨の感情のことであり、この感情に基づく価値判断の規範を【奴隷道徳 slave morality】と言います。社会がルサンチマンの感情に侵されると、権力者よりも高潔な【精神 spirit】を持っている自分でありたいという【自己実現 self-actualization】への【欲望 appetite】が社会の行動原理となります。韓国の「恨の文化」の根源はこのルサンチマンのキャラクターにあると考えられます。
加えて、隣国との圧倒的な実力差によって生じる強い劣等感は、韓国に恥をかくことを恐れるメンタリティを形成したものと考えられます。そしてこの反動として、誇大妄想的に自分を演じるようになり、結果的に【自己肯定 self-affirmation】あるいは【自尊 self-esteem】のキャラクターを持つことになったものと考えられます。韓国の「ウリナラ文化」の根源はこの自己肯定・自尊のキャラクターにあると考えられます。

パーソナリティ

後天的に獲得される個性であるパーソナリティは、個人が経験してきた環境に依存します。児童期から青年期にかけて異常な反日教育を受け、成年期からは異常な反日マスメディアの情報を受け取っている個々の韓国国民に【反日感情 anti-Japanese sentiment】というパーソナリティが形成され、社会のパーソナリティとなるのは自然な成り行きです。そして、韓国の反日教育の核となっているのが、元々有していたルサンチマンの感情を刺激して得られた不当な【被害者意識 victim playing】であるといえます。反日が飛び交う情報環境下に置かれた韓国国民は「韓国は常に日本よりも高い倫理を持っている」と認識しています。そしてそれは倫理のみにとどまりません。韓国の新聞メディアは、韓国と日本をありとあらゆることで比較して韓国に軍配を上げるという幼稚な記事を毎日のようにリリースしています(笑)。スポーツのゲームの勝ち負けに異常なまでにこだわるのもこのためです。これらはルサンチマンによる行動様式の典型です。韓国社会はこのような行動によって、韓国社会が日本社会よりも優れていることを認識したいのです。

テンパラメント

韓国は古代から【小中華思想 little Sinocentrism】によって中国の冊封体制に組み込まれていました。この根幹をなす【事大主義 sadaejuui】の精神により、強いものに対しては従い、弱い者に対しては見下すというテンパラメントを持っています。そしてこの行動様式を正当化する規範が【儒教 Confucianism】であり、上位の者は道徳的に優れているので傲慢であることが許容され、下位の者は道徳的に劣っているので謙虚であることが強制されます。これは完全なる【ダブル・スタンダード double standard】に他なりません。韓国では、中国が上位で日本が下位という歴然とした認識が確立されています。中国からの理不尽な要求に対してはソフトに受容する一方で、日本には理不尽な要求をしてその日本からの反応に対してハードに反撃するというのはこのためです。文在寅大統領が理不尽極まりない徴用工訴訟をめぐって「日本は謙虚にならなければならない」と発言したのは極めて当然の反応なのです。韓国の「反日無罪」の根源はこの事大主義のテンパラメントにあると考えられます。

認知的不協和

ルサンチマンと自己肯定のキャラクター、反日感情と被害者意識のパーソナリティ、事大主義のテンパラメントで特性化された韓国社会において、支持率が低下する度に韓国政府が日本とトラブルを起こし、強硬な対日姿勢を見せることで支持率を回復するというのはオキマリのパターンです。今回の各種事案の背景にも文在寅大統領の支持率急落があることは自明です。

ここまで述べてきたように、韓国社会は、そのキャラクター・パーソナリティ・テンパラメントによって「韓国は常に日本よりも高い倫理を持っている」と考えています。その一方で、最終的かつ不可逆的な解決を確認した慰安婦合意を破棄する慰安婦財団の解散、両国及びその国民の間の請求権に関して完全かつ最終的に解決した日韓請求権協定に違反する徴用工判決、そして海上衝突回避規範(CUES)に違反するレーダー照射といった韓国発のトラブルは倫理にもとる行為であることを韓国社会も認識しているはずです。この時、韓国社会は、高い倫理を持っていると認識している韓国社会の構成員である韓国国民が倫理にもとる行動をしているという矛盾を認知することになります。このような認知における矛盾を【認知的不協和 cognitive dissonance】といいます。

認知的不協和が発生すると、人は矛盾を解消するために「認知を変更する」または「認知をそのままにして新たな認知を加える」のいずれか一方の行動に出ます。反日というパーソナリティが形成されている韓国社会は、「韓国は日本よりも高い倫理を持っている」という認知を変更することはできず、何かしらの新たな認知を加えて認知的不協和を解消しようとします。ところが、日本の主張が論理的に【真 truth】である場合には、たとえ新たな認知を韓国が加えても結論が変わることはありません。「真実は一つ」なので、この場合の新たな認知は常に【偽 false】となるのです。しかしながら韓国は矛盾などお構いなしに次々と新しい認知を加えます。たとえ認知間に矛盾があってもお構いなしです。これは常に自分が絶対に正しいと考える自己肯定のキャラクターと下位と考える者の人権など気にしない事大主義のテンパラメントによるものと考えられます。実はこのような認知的不協和の解消行動こそが韓国お得意の【ゴールポストの移動 moving the goalposts】の根源に他なりません。

レーダー照射事案のケーススタディ

このような極めて歪んだ認知的不協和のシークエンスが見事に顕在化したのが今回のレーダー照射事案です。韓国は矛盾が生じても自らの主張に対する基本認識を変更せずに、新たな認識を次々に加え、新たな認識が論破されるとその認識を変更するという【ケイオス chaos】の世界に突入しています。以下、韓国の主張を時系列で見ながらその認知的不協和の解消行動を論評していきたいと思います。

■2018年12月21日

作戦活動の際にレーダーを運用したが、日本の海上哨戒機を追跡する目的で運用した事実はない。同事項について(日本側に)説明したが、日本側に誤解がないよう十分に説明する(韓国国防省/聯合ニュース)

岩屋防衛相が20日のレーダー照射を21日に「不測の事態を招きかねない極めて危険な行為だ」と抗議したことを受けての韓国の主張です。この段階で韓国はレーダーの運用を認めていて「追跡する意図はなかった」ことで自己肯定しています。ここでは、後に韓国が問題化する低空飛行に対する問題視など一切ありません。

■12月22日

火器管制用レーダーを作動させたことは事実だが、日本の哨戒機を狙う意図は全くなかった(韓国海軍関係者/朝鮮日報)
火器管制レーダーを含むすべてのレーダーを稼働し、この際、近くの上空を飛行していた日本の海上哨戒機に照射された(韓国軍消息筋/聯合ニュース)

この日には、火器管制用レーダーを作動させたことを認めています。後に防衛省が公開した映像記録によって韓国の駆逐艦は北朝鮮の漁船を完全に目視できる状況にありました。すなわち、韓国は、目視していた北朝鮮の漁船を追跡用の火器管制用レーダーで探すという極めて非常識な行動を実行していたことになります。この日の言説が自己肯定のための嘘であることは明白です。

■12月23日

日本の哨戒機が艦艇の方向に接近し、光学カメラを運用した。追跡レーダーが(光学カメラと)共に稼働されたが、ビームは照射しなかった(韓国軍消息筋/聯合ニュース)

この日になると主張が一転し、レーダーではなく光学カメラを運用したと主張を変え、ビームの照射を否定しています。これは自己肯定のための「新たな認知の変更」にあたります。

■12月24日

光学カメラは追跡レーダーと連動しており、カメラを稼働させると追跡レーダーも作動する(韓国国防省/聯合ニュース)
追跡レーダー(SRIR)に装着されている光学カメラで哨戒機を監視することになった。この過程で一切の電波放射はなかった(韓国軍合同参謀本部関係者/聯合ニュース)

「カメラを稼働させると追跡レーダーも作動する」という自己肯定のための言い訳は自分達の意図にも拘わらず動いてしまったという被害者意識の発現です。日本のEEZ内で不審な行動をしている韓国駆逐艦に対して哨戒機が調査活動をするのは極めて合理的です。加えて、事実上丸腰で飛行スピードも遅い大型の日本の哨戒機は、駆逐艦と戦闘すれば自殺行為に近いといえ、友好国の哨戒機に脅威を感じて監視する必要などまったくなかったと言えます。

■12月28日

わが軍が日本の哨戒機に追跡レーダーを運用しなかったという事実に変わりはない。テレビ会議を開いてからわずか1日後に映像を公開したことについて、深い憂慮と遺憾を表明する。むしろ人道主義的な救助活動に集中していたわが艦艇に日本の哨戒機が低空の威嚇飛行をしたことは、友好国として極めて失望的なこと。日本側が公開した映像は客観的な証拠とはみられない。日本側は一方的な内容を収めた映像を公開して事実関係をごまかしていることについてあらためて遺憾を表する(韓国国防部/聯合ニュース)。

この日防衛省が映像を公表したことに対して韓国は被害者意識を前面に出して反応しました。「映像を公開したことについて深い憂慮と遺憾を表明する」「人道主義的な救助活動に集中していたわが艦艇に」というのはルサンチマンによって日本を倫理的に批判するものです。もちろん防衛省が映像を公開することには何の問題もありませんし、人道主義かどうかに関わりなく、EEZ内でのファクトの記録は国としての当然の権利です。そして、ここで韓国が強調したのが「低空の威嚇飛行」です。哨戒機のルーティンな調査飛行に対して、いきなり「低空の威嚇飛行」と新たに認知して日本を非難しています。これは高給を得ていた戦時慰安婦や戦時労働者を「従軍慰安婦」「徴用工」といった「強制された奴隷」として新たに認知して日本を非難するのと同じルサンチマンのキャラクターによるものです。ちなみに、韓国社会が「慰安婦」を徹底的に問題視して「ライダイハン」を一切無視するのは事大主義のテンパラメントによるものです。上の者は下の者には何をやっても許容される一方で、上の者が少しでも不快と感じる行動を下の者がするのは絶対に許容できないのです。

■12月29日

日本乗務員が「Korea South Naval Ship」と呼んだが、通信状態が良くないえうえ英語の発音が悪くて「South」が「Coast」と聞こえた。海警を呼んだと考えた(韓国合同参謀本部/中央日報)

自衛隊の呼びかけに答えなかったことに対して、韓国は被害者意識に基づく自己肯定のための他者批判を行っています。

■12月30日

安倍政権が急落した支持率を引き上げようと強硬手段を取っているのではないか。自分たちを「海軍」と称したのも安倍政権の指向が投影された呼び方(軍の一部/中央日報)

これも自己肯定のための他者批判です。「韓国は常に日本よりも高い倫理を持っている」という妄想によって日本を批判しているに過ぎません。むしろ、支持率を引き上げようとして強硬手段を取っているのは文在寅大統領です。このダブスタはもちろん事大主義のテンパラメントによるものです。

■12月31日

日本の哨戒機の低空飛行は、太平洋戦争当時、米軍艦に自殺攻撃を敢行した「神風」を連想させる。威嚇飛行であり、艦艇に向けた自殺攻撃も可能な距離だ。いかなる理由で低空飛行を敢行したのか責任を問い、謝罪を受けなければならない(韓国国防安保フォーラムのムン・グンシク氏/ソウル新聞)

明らかなルサンチマンのキャラクターによる倫理攻撃です。機動性が悪い大型の低速飛行機である日本の哨戒機が友好国に向かって意味なく特攻行為を行うわけがないことは自明です。この日本に対する傲慢な謝罪要求は事大主義のテンパラメントによるものです。

■2019年1月2日

わが艦艇は哨戒機に対し追跡レーダー(STIR)を照射しなかった。これ以上、事実を歪曲する行為をやめ、人道的な救助活動中だった艦艇に対し威嚇的な低空飛行を行った行為について謝罪すべきだ(韓国国防部/聯合ニュース)。

自らを省みることがないダブルスタンダードで謂れなきことを求めるのは、上位の者は道徳的に優れているので傲慢であることが許容され、下位の者は道徳的に劣っているので謙虚であることが強制されるという儒教の価値観を実践しているに過ぎません。事大主義のテンパラメントは止まるところを知らないのです。

■1月4日

日本の海上哨戒機の低空威嚇飛行と虚偽の主張に対する韓国国防部の立場(を盛り込んだ)映像を公開する。日本はこれ以上事実を歪曲する行為を中断し、人道的な救助活動中だった韓国の艦艇に対し威嚇的な低空飛行をした行為について謝罪しなければならない(韓国国防部/聯合ニュース)

コラージュ画像とBGMを使って「反論映像」なる反論になっていない映像を公開し、謝罪を要求したのは自己肯定のキャラクターと事大主義のテンパラメントによるものです。

■1月15日

日本側が収集したと主張するレーダー情報を基に専門家が相互検証するよう提案した(シンガポール会談韓国実務者/ソウル聯合ニュース)
日本はレーダーの周波数を公開しなかった。日本はわれわれの軍艦のレーダー情報全体について要求した。非常に無礼な要求で、問題解決の意志がない強引な主張だ(韓国国防省/聯合ニュース)

実務者協議において、日本が相互検証を要求したにも拘わらず、現在日本が周波数を公開していないことを批判すると同時に、相互検証のうち韓国のデータ開示要求のみに言及して「無礼」と断罪しています。もう一度言いますが、事大主義のテンパラメントは止まるところを知りません。あえて言えば、韓国は「韓国が日本に怒らされていること」に怒っているのです。韓国がいくら傲慢なことを言っても、日本はそれを謙虚に受け止め、韓国をけっして怒らせてはいけないと考えているのです。

■1月17日

日本のメディアが実務者協議の終了前には報道しないとした事前合意を破って関連内容を報じたことについても防衛省に厳重に抗議し、再発防止を求めた(韓国国防省/聯合ニュース)

韓国は、1月15日に実務者協議の内容を嘘を含めて散々記者発表していたにもかかわらず、日本の報道にキレました。どんなダブスタでも許容する事大主義のテンパラメントです。

■1月18日

警備艇が稼働したレーダーを駆逐艦の火器管制レーダーと誤認した可能性がある(韓国軍消息筋/聯合ニュース)

対空ミサイルを保持していない警備艇が、駆逐艦の火器管制レーダーと一致するレーダー波を照射するはずがありません。途方に暮れるほど歪んだ自己肯定のキャラクターです。

■1月21日

今回の事案の本質は人道主義的な救助活動中だったわが国の艦艇に対する日本哨戒機の低空威嚇飛行であり、これに対する再発防止と日本側の謝罪を再度求める(韓国国防省/聯合ニュース)

この日の防衛省の発表により、韓国駆逐艦「クァンゲト・デワン」に対する日本哨戒機の写真撮影が過去に3件あったことが判明し、今回の飛行が「低空威嚇飛行」ではなくルーティンワークであることが判明しました。まさに「低空威嚇飛行」が自己肯定のキャラクターによる新しい認知であったことがわかります。

■1月23日

今後は日本に対して強硬に対応すると明らかにした(韓国合同対応本部/中央日報)
艦艇が航空機から威嚇を受ける場合、艦長が▼追跡レーダー(射撃統制レーダー)稼働▼艦砲で航空機照準▼信号弾発射▼警告射撃--などができる(韓国海軍/中央日報)

韓国は日本憎しのために実力行使を宣言しました。軍機が民間飛行機の接近基準を守っても、それを威嚇飛行と認定して武力攻撃をすると韓国が宣言していることを注意喚起の目的で世界に広報すべきであると言えます。

以上、極めて単純な心理モデルで韓国の行動様式を矛盾なく説明できることがわかったと言えます。このことが何を意味しているかと言えば、韓国の考えていることは極めて単純であり、簡単に予測できるということです(笑)

韓国の理不尽な行動の支援者

日本に対して理不尽な行動を続ける韓国ですが、これには支援者がいます。それは紛れもない日本自身に他なりません。ここで簡単に日本社会の個性について考えてみます。

まず、日本社会のキャラクターとして挙げられるのが、報われなくても日本のために全力で戦ったとされる史上最大の英雄とされてきた日本武尊(ヤマトタケルノミコト)に倣う【自己犠牲 self-sacrifice】の精神です。日本武尊以降、仁徳天皇のかまど神話、楠木正成の湊川の戦い、鳥居元忠の伏見城の戦い、「武士は食わねど高楊枝」、「お国のため」「欲しがりません勝つまでは」、特攻隊、モーレツ社員など、日本人は長きにわたって【自己犠牲】のキャラクターを美徳としてきました。自己犠牲の精神は【ノブレス・オブリージュ noblesse oblige】として西洋社会でも認められる崇高な精神ですが、日本ではときに過激になりすぎます。例えば最近でも、暴行されたアイドル歌手が「世間を騒がせて申し訳ありません」と謝罪会見をしました。この過激な自己犠牲のキャラクターこそが韓国の過激な自己肯定を許容しているのです。

次に、現在の日本社会のパーソナリティに大きな影響を与えているのが反日教育です。日教組が中心となって初等教育で植え付けた自虐史観は、思考停止に日本を悪の権化とし、東アジア諸国の全ての主張を無批判に肯定するものでした。このプロパガンダ教育に心酔して【反日】のパーソナリティを発揮しているのが、多くの憲法学者を含む一部の研究者、一部の法律家、一部のジャーナリスト(自称含む)、活動家等であり、【急進的平和主義/過激平和主義 radivcal pacifism/ extreme pacifism】といえる憲法九条の名の下に、日本がセキュリティ・システムを整備することに大反対しています。そしてその一方で、中朝韓の軍事活動に対してはまったく無関心であり、コメントすらしません。むしろ反日をパーソナリティとする中朝韓との外交関係においては、日本を批判し、中朝韓を擁護するのが常です。

そして、日本社会のテンペラメントとして挙げられるのが、議論を避けて安易な道を選択する【議論逃避 evasion】です。聖徳太子の「和を以て貴しとなす」という言葉は「和の国」日本の国体であり、社会を平和裏に運営することに資する一方で、妥協の産物である結果が理不尽かつ不十分になりやすいと言えます。これまでも日本は、事大主義のテンパラメントで無理難題を押し付けてくる韓国に対し、議論逃避のテンパラメントで解決をはかってきたと言えます。

このような日本の自己犠牲のキャラクターと反日のパーソナリティと議論逃避のテンペラメントが、韓国の自己肯定のキャラクターと反日のパーソナリティと事大主義のテンペラメントを許容するのは火を見るよりも明らかです。

日本がとるべき道

日本はこれまでに韓国の歴代大統領と大きな約束を取り交わしてきました。

朴正煕(1965)「請求権問題の完全かつ最終的な解決を認める」
金泳三(1993)「日本に物質的な補償は求めない」
金大中(1998)「韓国は過去の問題を持ち出さないようにしたい」
盧武鉉(2006)「日本にこれ以上の新たな謝罪を求めない」
李明博(2008)「日本には謝罪や反省は求めない」
朴槿恵(2015)「慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決した」

しかしながら、これらの約束は常に破られて現在に至っています。日本がとるべき道は、国際社会というレフェリーの前で事実をすべて公表し、国際法に基づいて論理的に事案を明示的に解決することです。特に、韓国の異常なキャラクターとパーソナリティとテンペラメントを世界に知らせることが重要であり、そのためには、他国(事実上は中朝韓)の日本に対する理不尽なプロパガンダに対して、いちいち各国語で詳細に反論するしかるべきセクションを外務省ではなく内閣官房に設立することが重要であると考えます。情報が世界中を瞬時に駆け巡る現代において、この組織が必要不可欠であることは疑いの余地もありません。

「セクハラ」と「パワハラ」野党と「モラハラ」メディア
藤原 かずえ
ワニブックス
2018-09-27

編集部より:この記事は「マスメディア報道のメソドロジー」2019年1月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はマスメディア報道のメソドロジーをご覧ください。