美容室に行くと、男性誌や情報誌を持ってきてくれて読む機会があります。その中で、担当の美容師が絶賛しているのが、「東京カレンダー」(写真)です。
最近の東京カレンダーは、どこまでが本気で、どこまでが冗談かよくわからない作りになっており、それがたまらなく面白いと言うのです。
確かに、読んでみると、かつてのホイチョイプロダクションの「見栄講座」のような、ギャグのような話が掲載されていたりして、思わず読ませてしまいます。
例えば、初めて一緒に食事に行って「がっかりさせた12人の女たち」というコーナーにはこんなことが書いてありました。
シャンパーニュって「ニュ」を強調する女
「あ、ここ来たことある」が、黙っていられない女
飲み物が空でも絶対に気づけない女
2軒目のアポが入っている女
ピンポイントで店指定してくる女
店を出た後、秒でタクシーを拾う女
・・・
といった具合です。「昭和な」男性目線での好みが反映されていますが、女性読者もこの手の発言を真に受けて「勉強」するのでしょうか。
掲載されているのお店は客単価が1万円以下が多く、ターゲットにしているのは恐らく30代~40代のビジネスパーソンと思われます。今どきの、草食系の若者の価値観とは、ギャップがあるように感じました。
レストランの情報などは、センスが良く、写真も綺麗に撮ってあって、使えるお店がたくさん掲載されています。情報誌としての価値は、あると思います。
しかし、出来損ないのドラマのようなストーリー仕立てで展開される内容と、解説の文章のチープな感じに、情報の感度の高さとギャップがあります。読んでいるうちに「もしかしてこれはわざと狙っているのかも」と思ってしまうくらいの絶妙のズレ具合なのです。
そして、雑誌の後半に毎回出てくる対談コーナーがとどめを刺します。なぜ、この雑誌に掲載する必要があるのかと思ってしまうミスマッチなゲストとインタビューの内容。スポンサーとの大人の事情があるのでしょうが、この内容とキャスティングまで計算ずくだとしたら、大したものです。
とにかく、最後までどこまでが本気で、どこまでがシャレでやっているのか、つかみどころのない雑誌。そこが、この雑誌の最大の魅力なのかもしれません。
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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2019年2月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。