ガラタサライに所属する長友佑都がベシクタシュに加入した元日本代表の香川真司を自宅に招いて平愛梨夫人の手料理でもてなしたそうだ。もちろん、シーズン中だ。
貴ノ岩事件のときに、本場所を前にしてモンゴル力士たちが鳥取で会食したのを八百長の温床とかいって批判した偏屈な国粋主義者がいたので、それなら、MLBやサッカー欧州リーグの日本人同士が会食するのも許さないのか、あるいは、球団は禁止できるのかと批判した。
あのとき、モンゴル力士たちの会合を批判した『有識者』どもは、この長友と香川の会食を「トルコサッカー界に失礼だ」「八百長の恩賞と疑われる」とか言って批判したらどうか。
私は貴ノ岩事件の本質は貴乃花が貴ノ岩のモンゴル力士との自然な交流を邪魔した人権侵害がそもそもの原因だということを事件の時から言い続けている。異郷で10代から外国で暮らすモンゴル力士にとって生活指導上もふくめてモンゴル力士同士の交流がどれだけ有益であることか計り知れない。
ところが、貴乃花親方はそれを原則禁止したらしい。事件の起きた夜は久しぶりにお許しが出て、出席したら、先輩力士達から貴ノ岩の生活態度や礼節などが乱れていることを注意され、それに貴ノ岩がふてくされた態度で応じたので起きたのがあの事件だ。
もちろん暴力を振るった日馬富士が悪いのは当然だが、格闘技の選手同士の場合、一般人やほかのスポーツ選手とも同じ基準で考えるべきかというと、少し違うのでないかということも当時から指摘していた通りである。
貴乃花部屋では、親方一家が部屋に住まないことから生活指導ができてなかった。もちろん、女将さんが母親代わりになるというシステムが難しくなっているのは分かるが、従来のシステムをやめた貴乃花部屋がプロフェッショナルなチームを雇って、近代的な管理法を導入していたわけでない。だから、生活も乱れ、相撲も伸びなかっただけだったのではないか。貴景勝が移籍した途端に優勝したのは偶然であるまい。
結局、貴ノ岩は国民的英雄である横綱を引退に追い込み、訴訟までしたと家族の安全も危ういほどになった。日本人大リーガーの無名選手が、同様のケースでイチロー選手を引退に追い込み訴訟までしたようなものだから、予想されたことだ。
しかし、貴ノ岩の断髪式には、日馬富士も白鵬も出席して不幸な後輩の第二の人生を手助けしてくれそうだ。そして、貴乃花親方は、この午前中の断髪式に夕方に名古屋である会合を口実に出席しなかった。
こういう場合、貴乃花はタニマチなどに頼んで盛大な引退興行になり再出発の原資となるようにご祝儀が集まるようにするのが親方だった立場での義務だと私は了解している。ともかく、相撲精神を正しく伝えられるのはむしろモンゴル力士たちだというのは、私がずっと言い続けていることだ。
国籍についても、理事長などについては、また別の考え方があってもいいが、親方として協会に残ることまで国籍を条件にするのは、人権侵害だと私は思う。