韓国の選択は中・北ではなく米・日しかない

高 永喆

同盟国の間にも突発的な事態は発生するが、その時は同盟国としての対処の仕方がある。

1996年6月4日、環太平洋合同演習(リムパック)で日本の護衛艦は米艦載機A-6機を標的と誤認し撃墜したことがある。しかし、事態は日本の遺憾表明で早期収拾された。

韓国と日本は、韓米同盟と日米同盟に基づく友好国であり準同盟関係にある。昨年来の「火器管制レーダー照射」「低空威嚇飛行」をめぐる論争も、事態発生の直後に互いに友好国(準同盟国)としての対応があったはずだ。その機会を逃して増幅され続ける緊張関係は、互いに敵対視しかねないレベルにまで高まっている。

Facebook(文氏、トランプ氏)、官邸サイトより:編集部

最近の韓日対立は、ややもすると「韓国が中国と北朝鮮の操り人形になって友好国・同盟である日本、米国を敵対視するのではないか」という誤解を招く恐れがある。しかし、それはあり得ない選択だ。中国の経済成長の父、鄧小平は「親米国家はすべて豊かな国になった」と言った。北朝鮮の口癖も「韓国が金持ちになったのは、米国に寄り付いたからだ」である。

米国は世界最大の産油国であり、あらゆる面でスーパーパワーである。米中貿易戦争で中国経済は低迷し、中国の資本に港、土地を乗っ取られた国々は[一帯一路]から離脱しつつある。

中国の同盟国は北朝鮮1ヶ国に過ぎないが、米国の同盟国は45ヶ国である。米国の中国包囲構想の中核地域は南シナ海ではなく、韓半島こそが戦略要衝地であることが分かる。

明治時代、日本は欧米から東洋の小さな島国、貧しい片田舎国扱いされた。しかし、英米のロシア封じ込め戦略に相乗りし、日清・日露戦争で勝利して先進国の仲間入りが出来た。今日も日本は先進7ヶ国(G7)の一つである。それも、米英が主導する国際情勢の潮流に乗ったからだ。米国は今、自国の覇権を脅かす中国を封じ込める戦略を展開しているようだ。

韓国が生き残る選択肢は共産主義が支配する中国、北朝鮮寄りではなく、自由民主主義に立つ米国、日本と友好同盟関係を強化すべき時期であることは自明だといえる。

(拓殖大学主任研究員・韓国統一振興院専任教授、元国防省専門委員)

※本稿は『世界日報』(2月5日)に掲載したコラムを筆者が加筆したものです。

【おしらせ】高永喆さんの著書『金正恩が脱北する日』(扶桑社新書)、好評発売中です。