ふるさと納税の返礼品に規制が強まる動きを受け、大阪府泉佐野市は5日、「閉店キャンペーン」と銘打ち、アマゾンギフト券なども含めた総額100億円分の返礼を行うと発表した。ヤフージャパンが昨年末に100億円を大盤振る舞いした「PayPay」のキャンペーンを意識しているのは明らかで、規制を巡って対立する総務省を挑発するような同市の“お役所らしからぬ”手法が、ネット上で賛否両論を巻き起こしている。
泉佐野市の寄付金受入額は2017年度は全国の自治体でトップの135億円。2位の宮崎県都野町の79億円の倍近いダントツだった。巨額の収入のきっかけは、通販サイトと見紛うような充実した返礼品だ。地元の関空を離発着するLCCのチケットや「泉州タオル」といった“ゆかり”のある品はごく一部。他県産の名品、例えばいちごの「とちおとめ」(栃木)や「あまおう」(福岡)、大手飲料メーカーのビールなど、およそ「無関係」と思える豪華な返礼品にモノを言わせての「日本一」の座を手にした。
当然、寄付金に対する返礼品の金額比率は、45%にものぼっており、総務省は問題視。「ふるさと納税の趣旨に反する」と遺憾の意を示し、今回もPayPay型キャンペーンにも同様の懸念を示しているようだ。
同省は、泉佐野市のように30%を超える自治体については6月から、寄付者にふるさと納税の優遇措置の対象外となるよう、法改正の動きに入っているが、市は昨年9月に記者会見で総務省を公然と批判する異例の事態になるなど、両者の対立が続いてきた。
この日は報道直後から市のサイトや特設サイトにはアクセスが殺到。深夜になってもつながりにくい状態が続くなど、本家のPayPayを彷彿とさせる騒ぎになった。市の「打ち手」に賛意を示す人からは「総務省に喧嘩売ってる、笑」「地方の反乱だ」などと面白がる声や、「ここまでやると応援したくなる」といった投稿もみられた。
一方、泉佐野市の奇策とも言える「バラマキ」には疑問や批判もあった。
また、前都知事の舛添要一氏は「異常」と断じ、制度そのものの廃止を主張。
アゴラ編集長の新田哲史も「地方自治の履き違え」と手厳しく批判していた。