自動運転勢力図!つながるモノとインターネット

昨日の日本経済新聞1面トップは、「自動運転、Google陣営に -1600万台規模 日産・ルノー参画」という大きな見出しでした。
日産と言えば、ここ最近はカルロス・ゴーン元会長の取調べが依然続いている、この話題ばかりですが、昨日の記事は注目です。

以前、私がシリコンバレーを視察した際の、こんなメモが残っています。

『ブレーキもアクセルもついていないGoogleの自動運転車両をシリコンバレーではタクシーより多く見る。GoogleにFIATが参加した。ということは間もなくFIATの車両にGoogleのロゴが入る。すなわち、FIATは、Googleの下請けになる。
そう言われている。
最も儲からない車体のみを作る会社になる可能性がある。
今までは同業他社を見ていればよかったが、今はITが垣根を越えて殴り込みをかけてくる時代だ。』

この私のメモには、IT時代の競争に関する二つの事例が入っています。

一つ目は、タクシーよりGoogleの自動運転車両の方が多いということです。
これは、タクシー台数が減ったUberの存在ですね。
これは以前、『【米国レポ】白タク「Uber」は五拍子そろってた!』で書きました。

二つ目は、自動運転でGoogleが先行しているということです。
これも以前、『【シリコンバレー特集】第1回“日産シリコンバレー”を訪れて。『Googleが自動車業界に参入?』驚くべき自動運転開発の今!』で書きましたが、FIATが3年前に、自動運転の自社開発を諦めGoogleと組む決断をした程です。

私が、日産のシリコンバレー研究所に伺った3年前、日産は自動運転技術を独自に開発していました。ただしシリコンバレーでは、Googleの自動運転技術が先行していると事は常識でした。

だって皆さん考えてください。
Googleは、Googleマップ、Googleストリートビューのサービスがあるように、世界の道を一番知り尽くしている会社ですよね。ですから、Googleが自動運転の中枢を開発に成り兼ねない。だから日産も技術を高めてきましたが、3年経ってGoogleと何らかの技術提携を含めたアライアンスを組む方向に至ったのだと思わいます。

この伏線にはトヨタの存在もあります。
昨年の10月4日、IT企業であるソフトバンクとトヨタはタッグを組みました。この提携にはアメリカのGM、そしてホンダも連合軍とし参画しています。

別の連合体としてはIT企業のインテルとフォード、フォルクスワーゲンです。

トヨタはソフトバンクとの提携によって自動車会社からMSPF【(Mobility Service Plat Form(モビリティサービス・プラットフォーム)】になっていくと言っています。
これが何を意味しているのかといえば、自動車という商品端末を中心とした移動体サービス会社になるということです。裏を返せば、自動車を作って売るとだけの会社ではもうビジネスが成り立たなくなったという事です。

既にカーシェアリングはスタートしていますし、自動運転が本格化すると車を益々所持しなく成りますよね。

「ピッ!」とボタンを押せば玄関まで迎えにくる、そして目的地まで自動で連れて行ってくれる。

そうなれば、別に車を所持する必要がありません。ですから、車の台数が減っていく可能性は大きいです。

もちろん自動運転自動車を製造販売を続けたとしても、関連するサービスをどう展開するかというのがこれからの方向性だと思います。

例えば運転する必要が無い訳ですから、保険の仕組みだって変わるでしょう。
運転しないならば、その間に何が出来るのか。
映画配信なのか物を食べるのか、こういったサービスをどのように提供していくのかなどなど。その為にはIoT(モノとインターネットが繋がる)が必要になってきます。

これは我々には関係のない大企業のアライアンスの話ではありません。

例えば携帯電話を製造しているのは大企業です。しかし、ストラップは?保護シールは?そしてアプリは?と言ったら、様々な企業のアイディアが活きてビジネスになったわけです。

さぁ、これから変わっていく社会で、私たちは何を考えるかです。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年2月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。