女性議員が理不尽な性差別を受けている、という議論は、世界的にあちこちのメディアで目にするものです。2月6日にAERA.dotに掲載された『女性議員を追いつめる「票ハラ」被害が深刻化』などもその一つです。
確かに、議会内外において、性的な揶揄やハラスメントを受けたことのない女性議員は一人もいないのでは、とさえ思います。しかし、女性議員の一人である私は、女性議員がマスコミにおいて弱者として描かれること、「被害者としての女性議員像」を議員自らが甘受することに、違和感を覚えてきました。私たちがその位置に甘んじている限り、女性議員は一人前の政治家にはなれません。
男女問わず、政治家には覚悟が必要です。言われなき中傷を受け、批判に晒されることは、政治家にとっては残念ながら、当たり前のことなのです。そのような状況にあっても、信念を持ち、政策を磨くことが、政治家としての務めなのではないか。私たちも、覚悟を持とうよ。そのような思いで、『同志である、女性議員の皆さんへ』として、同志たちにメッセージをしたためました。
『同志である、女性議員の皆さんへ』
あのね、
地方の県議会で4期16年過ごしてる
ちょっとだけ経験のある
おばちゃん議員からの、
とるに足らない言葉だと思って聞いてね。
私たちは、弱者じゃない。
私たちは、法と、
そして有権者からの一票一票に支えられた、
世界最強の女たちのひとり。
平等である機会を与えられた、
最も恵まれた立場にいる女たちのひとり。
その私たちが弱音を吐いて、どうするの。
私たちは、被害者じゃない。
もし政治の場で性的な被害にあっても
被害者としてさめざめと涙を流すのでなく、
顔を上げ、毅然として闘える力を
私たちは有権者から預かっている。
その私たちがその力を発揮せずに
何故弱音を吐かなきゃいけないの。
私たちは、ただの女じゃない。
私たち女性議員は、
世界で一番恵まれた立場の女。
私たちは、世の中の女性たちに、
弱者としての姿を見せるのではなく、
勇気と夢と、心強さを与えなくちゃ。
男社会でいじめられる、か弱い存在として
世の中の沢山の女性たちに守られるのでなく、
あなたこそが彼女らに、
さあ私についてきて、って言わなくちゃ。
私たちがもし、
わたし個人という政治家としてではなく
女性だからという理由だけで
政治的排除にあっているとするならば
それは私たちの力不足。
何故なら政治家は
年齢も性別も超えた
もっと大きな存在であるはずだから。
それこそが、政治的人間。
それは重荷だけど、
性差も年齢差も超えられる、
このことは私たちの最大の武器なんだから。
私たちは早くそこに到達しなければ。
とにかく勉強をして。
どんな男性にも、また女性にも、
有無を言わせないほど
優秀なあなたの姿をみんなに見せて。
おじさんに嫌味言われてもいいじゃないの。
あなたは別の次元の人、
関わっている暇はないよ。
前を向いて、ハイヒール履いて
ぴんと背筋を伸ばしたら
いざとなればおじさんを上から見下ろして
あ、禿げ見っけ。って呟いたり
いざとなればピンヒールで
おじさんの向う脛を蹴ることだって
あなたはできるけど、
つまんない人に構ってる時間なんて
本当にもったいない。
さあ、ルージュをひいて。
前を向いて。
堂々と歩こうよ。
後ろに、たくさんの
か細いけれど強靭な
女性たちの夢を引き連れて。
私たちは政治的人間。
性も年齢も超越した存在なのだから。
河井 あんり 広島県議会議員(広島市安佐南区選挙区、自民党)
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 修士課程修了。(財)海洋科学技術センター(現・海洋研究開発機構)地球フロンティア研究システム、科学技術振興事業団(現・科学技術振興機構)、広島文化短期大学非常勤講師を経て、2003年初当選(現在4期目)。公式サイト。