ゴーン被告の大弁護団は機能するのか

写真AC、Wikipedia:編集部

ゴーン氏の弁護団は10人の弁護士で構成されているようだが、この10人の弁護士以外にもゴーン氏の一連の事件に関与している外国のローファームがいくつかあるようである。

さすがゴーン氏だな、と思うが、普通の場合は少数精鋭主義の方がいい。
どなたが船頭を務められているのか分からないが、万一船頭役の人が複数いると、船頭多くして船山に登る、ということになりかねない。元特捜部長の弁護士がゴーン氏の弁護人を辞任されていた、ということだが、多分賢明な判断だったろうと思う。

キャプテンは、やはり一人がいい。
キャプテンの補佐役やキャプテンの指揮下に入る弁護士は何人いてもいいが、キャプテン役を自認する弁護士が何人もいるとその時々の方針決定や弁護士間の意見の調整に手間が掛かって、結局は依頼者にとって不利益な結果を招きかねない。

弁護士がいい仕事をするための条件の一つは、精鋭の弁護士3人で一つのチームを組むことである。

3人寄れば文殊の知恵、ではないが、ほぼ同程度の見識のある弁護士が3人揃えば、まず大きな間違いはしないで済む。

弁護士は、一人一人がそれなりの見識の持ち主だから、常に意見が一致することなどないと考えておいた方がいい。
2人の弁護士の間で意見の食い違いが出た時に、もう1人の弁護士がどちらの意見に賛同するか。
弁護士が2人だと、意見の対立が生じた時に収拾の方法がないが、弁護士が3人だと比較的簡単に意見の調整が出来る。

一応主任の弁護士と副主任の弁護士を決めるが、主任と副主任はいつでも交代出来るように担当事件について同程度の認識を深めておく必要があるが、もう一人の弁護士は大局的な判断が出来る弁護士が望ましい。

主任、副主任の弁護士の下に何人弁護士が付いてもいいが、弁護士がいい仕事をする条件は、主任、副主任の弁護士と大局的判断が出来るもう一人の弁護士の3人がいいチームを組むことである。

ゴーン氏の弁護団がこれからどれだけの力を発揮するか、注視している。
最終決着まで何年掛かるか見当も付かないが、刑事弁護人としては腕の見せどころではある。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2019年2月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。