アメリカのトランプ大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長による2日目の首脳会談が28日、ベトナムの首都ハノイのホテルで行われた。両首脳は、側近を含めた拡大会合の後に当初予定されていた昼食会をキャンセル、予定より1時間以上早く会場を出発した。
同日15時40分頃(日本時間)、ホワイトハウスは「非核化などで合意に至らなかった」と発表した。その理由についてトランプ大統領は記者会見で、「北朝鮮は制裁の完全な解除を求めてきたが、まだ認めることはできない」「寧辺の核施設廃棄だけでは不十分」「(交渉から)退席する準備は常に必要」などと説明。
今後については、「今後も数週間話し合いを続けていく」「1年前より考え方は近づいている」などと述べた。
またNHKは17時11分、「外務省幹部が取材に対し、今回の米朝首脳会談で、拉致問題が議題に上ったことを明らかにした」と報じた。
専門家やネットは今回の合意不成立にどう反応しているのか。
舛添要一前都知事は「外交の常識では考えられない」と指摘。
米朝首脳会談後、トランプ大統領は単独で記者会見中。金正恩委員長から制裁の全面解除を要求されたが、それをアメリカ側が拒否したので、合意に達しなかったという。ただ北朝鮮との良好な関係は維持するという。こんな結果になるとは、事務的な事前折衝は十分だったのか。外交の常識では考えられない。
— 舛添要一 (@MasuzoeYoichi) 2019年2月28日
アゴラでもおなじみの長島昭久・衆議院議員は「大きな失敗」と厳しめの評価。
米朝のハノイ交渉決裂。無理やり悪い合意をするよりベターとは思うが、北朝鮮の核やミサイル開発を全く止めることができなかったことは大きな失敗と言わざるを得ない。トランプ大統領の会見を見ているが、サプライズは何もなさそうだ。寧ろこれだけの大舞台で演じ切った金正恩委員長の出方を見たい。
— 長島昭久 (@nagashima21) 2019年2月28日
北朝鮮情報専門サイト編集長の高英起氏は「いつもの米朝に戻った」と感想を述べた。
今の時点で「米朝が決裂してまたもや対立へ!」というような早急な見方はしないが、なんとなく「あぁいつもの米朝に戻ったね」という妙な落ち着き感がある。
— 高英起(コウ・ヨンギ) (@dailynkjapan) 2019年2月28日
また、今回の米朝会談決裂で韓国株が急落。
【悲報】米朝会談決裂で韓国株急落 https://t.co/7sTwk0JZLUpic.twitter.com/7nbLjQczAQ
— ニュース@ブレイン (@jvvz5jdwn) 2019年2月28日
南北関係の悪化を心配する声も上がっていた。
米朝首脳会談の決裂して、唯一の成果が『韓国総合株価指数を暴落させたこと』ってのはさすがに笑うしかない。
これ南北関係も悪化するんじゃ? pic.twitter.com/endjcQCRg6
— ドクペ姉さん (@8cFS70aWWJFzgr0) 2019年2月28日
ちなみに日経平均も下落。。
米朝首脳会談、非核化など合意できず
おいおい、引け間際の日経平均株価の凄まじい下げ見ろよ#日経平均株価 pic.twitter.com/XwLVpJ3WSP— のろぴす (@onemizuho0407) 2019年2月28日
後場の株価下落の主因は米朝首脳会談。大引け後に非核化で合意できなかったと発表する前から、記者会見繰り上げやワーキングランチ中止など、和やかさが消え、ピリピリした空気が市場に伝わっていた。「日経平均反落、輸出関連株に売り 引けにかけ下げ幅拡大」:日経電子版 https://t.co/TnIB20X7ZG
— 小栗太@日経 (@ogurifutoshi) 2019年2月28日
こうした中、アメリカでは米朝首脳会談はほとんど無視され、トランプ氏の元顧問弁護士マイケル・コーエン氏の公聴会での証言ばかりが報道されているとの指摘もあり、
日本のマスコミは裏イベント(米朝首脳会談)を大きく取り上げているが、米国でほとんど無視されている。米国でのビッグニュースはトランプ氏の元弁護士マイケル・コーエン氏の下院委員会での証言だ。 pic.twitter.com/fdFYQlVmNn
— Robert Geller (@rjgeller) 2019年2月28日
米朝会談の記者会見でコーエン氏関連の質問をする米ジャーナリストの姿勢に大喜びする人も。
アメリカのジャーナリスト、容赦ねぇーな。
ハノイで米朝会談の記者会見してるトランプに、「マイケルコーエンは、あなたのことを、嘘つきで、レイシストと呼びましたが?」って聞いとるw
絶対容赦しねーのな。さすがだw
— 菅野完事務所 (@officeSugano) 2019年2月28日
一方、外交問題としての米朝会談の重要性を鑑みて、米メディアの報道ウェートに「奇妙な感じがする」との意見も見られた。
奇妙な光景:トランプ米大統領の元顧問弁護士マイケル・コーエン被告は27日下院監視・政府改革委員会の公聴会で証言した。米CNNなどは米朝首脳会談をそっちのけで、この証言ばかり報道している。重要な外交問題は視野の外。この報道のウエートはとても奇妙な感じがする。
— 滝田洋一(日本経済新聞・WBS) (@yoichitakita) 2019年2月28日