ビジネスの現場は変化している。いまの時代を勝ち抜くためには、常識的なことや思い込みの壁を取り払わなくてはいけない。
ビジネスであれば、自分が手がけた仕事以外は素人だという認識を持つことが大切である。感度の高い人は、知ったかぶりをしないし素直な気持ちで学ぶことができる。
高年収をもらうことで陥りやすい錯覚がある。ある水準を超えると自分は何でもできると錯覚する人が増えてくる。しかし、それは多くの場合、幻想にすぎない。
どれだけ年収を上げようと、すべてを完璧にこなすことはできない。いまのビジネス環境であれば、年収1000万円を超えた辺りから、このような思考の人が増えてくる傾向がある。
営業トップの成績で年収1000万円。ところが経理や数字はまったくの素人という人がいる。いまの会社にいる限りは問題視されないかもしれないが、転職したり、起業が選択肢にないってきたら経理や管理、総務の知識がゼロというわけにはいかない。
転職先が、数字を挙げるだけではなく、ちゃんと起票して請求をおこない入金までが仕事とされる場合、すべての営業に関わる実務をこなさなくてはいけない。
いままでのように、売上伝票を起票したらアドミが管理してくれるわけではない。いままでのやり方ではまったく評価がされなくなる。
そのためには、総務や経理の知識を最低限知っておく必要がある。会社であれば、人を通じて情報を入手することが可能になる。分からなければ、別部署に直接、聞けばいい。
社内にはさまざまな部署があり、その分野の専門家が働いている。身近に聞けるは専門家だから、彼らの存在があればフルに活用することができる。
しかし、会社を辞めてから同じことを学ぼうとすれば、莫大なお金がかかることを忘れてはいけない。社内であれば、経理や税務について担当者が丁寧に教えてくれる。会社を辞めたら、専門家にお金を払って教えてもらわなければいけないだろう。
これは非常にもったいないことである。これからやってくる働き方改革の新時代を生きるビジネスパーソンはもっとしたたかになるべきである。
さて、14冊目となる『3行で人を動かす文章術』を上梓した。社内で評価される正しい文章を書きたい人には役立つ内容ではないかと思われる。
尾藤克之(コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員)