パチンコ依存症者の児童虐待問題

田中 紀子

写真AC:編集部

またしても痛ましい事件が起きました。

大やけどの3歳児放置、母と同居相手逮捕 「パチンコに」(神奈川新聞)

大やけどをしていた3歳の長女ですが、なんとか助かったようでホッとしていますが、誤ってシャワーで熱湯をかけるものか?虐待の可能性をきっちり調べて、簡単に親の元に、子供たちを戻してしまわぬよう慎重な対応を求めます。

そもそもお風呂場のシャワーで熱湯がでる設定なんかに普段していますか?
まだ真冬並みの寒さだというのに、子供たちを裸で放置。
3歳児であれば充分トイレトレーニングが終わっていておかしくない年齢なのにオムツ。
そして重傷を負っている子供を放置してパチンコ。

….どう考えても、虐待の可能性が高いですよね。
この事件、何故マスコミがもっと騒いでくれないのか?不思議です。

そもそも典型的な虐待リスクが高いと言われているパターンですよね。
10代の出産、父親以外の恋人、そしておそらく無職の二人。
子供達の心身の傷がいやされると共に、この両親に対しても刑罰が科せられるのはもちろんですが、同時に適切なプログラムにも繋げて欲しいと願います。

しかしこういう子供が巻き込まれていくギャンブル依存症問題は本当に胸が痛いです。
そして、母親がギャンブラーの場合というのが、本当に困ることが多いです。

父親も問題を分かっているのですが、働かない訳にもいかないし、小さい子供がいると、親や夫は思いきったことができません。場合によっては、児相の協力を経て子供を預けることも考えた方が良いと、アドバイスするのですが、決断がつきません。結局、子供を置き去りにしたまま、パチンコに行ってしまいます。

ご存知の通り、70年代の終わり頃までは、パチンコに子供たちを連れてきており、そこで次々に誘拐されるという事件がありました。また駐車場等で遊んでいて車にひかれてなくなるという事故もありました。

現在は子供が入店できなくなったので、留守中の子供達に事故が起きるようになったのです。
ぱっと覚えているだけでも、火事で子供達が亡くなる事件が相次ぎ、2003年には、愛知県で4人のお子さん、2009年には松戸で3人のお子さんが、いずれも母親がパチンコ中に焼死しました。2005年には鹿児島で5人のお子さんが犠牲に。こちらは両親がパチンコ中でした。

そして、私が常々不満なのは、これだけ多くの子供が亡くなっているのに、母親のパチンコ依存症問題にフォーカスされないために、同じような事件や事故が繰り返し起きていることです。

我々としても、児相しか手立てがない現状では、非常に動きにくく、なすすべがありません。
母親がパチンコ中に置き去りにするリスクが高いというだけでは、児相もなかなか介入しずらいです。

こういった小さい子供がいる母親が、ギャンブル依存のプログラムを、きちんと受けられるシステムや場所を一刻も早く整備して欲しいと願うばかりです。

親のパチンコのために、命を失う子供達。
ただでさえ、駐車場の熱中症問題で、すでに多くの子供達が亡くなっています。
これ以上の犠牲者を絶対に出さないためにも、なんとか支援策を整備して欲しい!と強く願います。


編集部より:この記事は、公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表、田中紀子氏のブログ「in a family way」の2019年3月5日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「in a family way」をご覧ください。

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