地方議員のなり手がいない、という話題が統一地方選挙が近づくこともあり、地方では大きな話題になっている。
そこで解決策として、議員報酬を上げるという対策が各地で検討されている。
議員不足が深刻化していない都市部では実感のない話であろう。むしろ、政治家のパフォーマンスの(と私が思う)ための「報酬を下げよう」という方向性のほうが目に付くのではないか。
報酬がいくら位なら議員をやりたいと思う人が出るか、という視点は議員不足の状況では重要である。市場経済がきちんと成り立っているのなら、報酬が高ければ優秀な人材が、安ければそれなりの人材が議員になろうとするからだ。
ちなみに私はどうなのかと言えば、年収1,000万円ならやる、500万円なら絶対にやらない、という感じである。
議員報酬がいくらなのかということは公開されているので、誰でも知ることができる。私の計算だと、長崎県議会議員ならボーナス込みで1400万円、長崎市議なら1000万円程度になる。つまり、私は長崎市議ならやろうと思える水準である。
自民党支部渋谷総支部のHPに、新役員の紹介が出ている。多分、区議会議員に新人として出馬予定の人たちなのであろう。参考までに最終学歴だけ抜き出してみる。
- オレゴン大学政治学部、明治大学政治経済学部
- 千葉大学理学部
- 東京大学法学部
- 慶応義塾大学商学部
- 東京大学大学院
さすが東京の渋谷だけあって、中卒高卒も珍しくない長崎市では考えられない素晴らしい学歴である。渋谷区議も長崎市議と同じ位の議員報酬なので、この程度の報酬であれば、このレベルの人が議員を目指す、と考えていいのだろうか。
ところで最大の問題なのは、報酬がいくらなのかより、手元にいくら残るのか、ということである。
これについては、例えば渋谷区議の鈴木けんぽう氏(元民進党、無所属)のブログに内訳が書いてある。
鈴木氏によると、手取りで月に40万円弱、手元に残るのが20万円程度だそうだ。長崎市議の浦川もとつぐ氏(明政クラブ)のブログにも明細が書いてあり、同じような感じなのがわかる。ちなみに上記の浦川もとつぐ氏は市議から県議にくら替えする予定なのだが、見ての通りブログもtwitterもほとんど更新されていない。地方議員ではネットがあまり重要でない、ということの、1つの証明になることだと思う。
それから鈴木氏はブログによると「500〜600万円位の年収の人と同じくらいの生活をしている」そうで、となると、私が「絶対にやらない」と思う賃金水準になってしまうのだ。
ではなぜ手元に残るお金が少ないのか。私に言わせてもらうと、「選挙対策にお金が必要だから」ということに尽きるのではないか。
長崎新聞の特集でもこのことが採り上げられていて、『支援者との交際費や冠婚葬祭費、自身のホームページの管理費など「議員活動に関係する支出」が約10万〜15万円を占める』のだそうだ。「議員活動に関係する支出」なら政務活動費から出すべきことだし、それは「選挙活動に関連する支出」じゃないの?と素人の私は思ってしまう。
議員不足に関する別の長崎新聞の特集記事では、『ある現職は「会合、イベント、宴会と一年中バタバタ。議員の仕事はきつい」と漏らす』と書いてある。議員の仕事って、そうなんですか。
冠婚葬祭にお金を使わないと選挙で勝てないのか、ということだが、ここは有権者の意識の問題なので、みなさんに考えてもらいたいところだ。私は、ここにお金を使わないことを実践したいと思っている。こればかりは、やってみないとわからないことであるが。
ちなみに、選挙運動自体にも公費が出るので、本来であればお金がかからないことは、以前「アゴラ」への投稿記事に書いた。
選挙のプロの方々からは、お金をかけないと当選するのは不可能だ、という意見が圧倒的のようだが、私は公費以外にお金をかけずに、選挙運動も7日間だけしかやらないで、どこまで行けるのか試すつもりだ。
またもし当選できれば、選挙運動のことと合わせて議員報酬の使い方も、ネット上で公開するつもりである。
あ、さっきのアゴラの記事では県議選への出馬を検討するようなことを書いてきたが、長崎県議選長崎市選挙区は無投票を回避できそうな雰囲気なので、私は市議選にくら替えするつもりだ。