少し季節はずれな話題になってしまいますが、今年1月のこと。
フローレンスにはこんなお手紙が続々と届きました。
実は、これらはフローレンスが病児保育事業を通じて支援している全200家庭を超える「ひとり親家庭」の子どもたち、親御さんたちからいただいたお返事です。昨年12月にフローレンスからサプライズでお送りしたクリスマスカードへの、感謝のことばやサンタクロースへのメッセージが綴られています。
フローレンスでは、毎年ひとり親支援の一環として、病児保育ひとり親支援プランを利用するお宅のお子さんたち1人ひとりにクリスマスカードの送付を行っています。昨年まではボランティアを募ってサンタクロースからの手書きメッセージを届けるというものでしたが、今回は新しいサプライズを用意しました。
きっかけは、ひだまりサロンから
今回はお子さんへのクリスマスカードに加えて、ひとり親プランをご利用のひとり親さんへのメッセージカードも手作りし、同封しました。
親御さん向けのクリスマスカードを製作しメッセージを書いたのは、日頃各家庭に病児保育を提供している「こどもレスキュー隊員」たちです。
※フローレンスでは訪問型病児保育スタッフのことをこどもレスキュー隊員と呼んでいます
親御さんにもクリスマスカードが送られるきっかけとなったのは、こどもレスキュー隊員の呼びかけからでした。
フローレンスでは不定期でこどもレスキュー隊員が中心となり、「ひだまりサロン」というイベントを開催しています。病児保育のひとり親支援プラン利用者にヨガ講座やネイル、メイクレッスンなどを提供し、リフレッシュしてもらう保育付きのイベントです。
そのひだまりサロンイベント終了後のこと。
こどもレスキュー隊員たちの雑談の中から、それは発案されました。
「ひだまりサロンに参加してくれる親子さんたちは満足してくれているけど、今日来られなかった人もたくさんいるよね」
「参加できない親子さんたちに何かできないかしら?」
「なかなか参加できないご家庭にこそ何かしたい。」
「そういえば、毎年こどもレスキュー隊員仲間から手作りのクリスマスカードが届いて嬉しいのだけれど、それはどう?」
「ほかのこどもレスキュー隊員も、ひとり親の親御さんのために何かできたらって思ってる人がいると思う」
「ひとりで頑張っている親御さんの中には、レスキューで伺った時、隊員に対しても心開いてくれない人もいたりして…気になっていたの。大丈夫よ、安心して預けてね、ひとりじゃないよの気持ちをカードで伝えられたらいいね」
クリスマスカード作成の呼びかけと、応える隊員たち
ひだまりサロンの運営担当をした一人の若手隊員が、仲間の隊員約100名に向けて具体的な呼びかけをしました。
彼女は慣れない企画書を書き、マネージャーに提出しOKをもらい、日々の病児保育レスキューの合間に他の隊員に相談をしながら少しずつ企画をまとめていきました。
こどもレスキュー隊員が一堂に会する会議で、彼女はひとり親さんにサプライズで手作りクリスマスカードを送る企画について呼びかけました。
今回製作したクリスマスカードはこちら。
パーツ作成、カード作り、メッセージ作成…と、皆の協力が一つになってやっと完成します。
「私はカードの製作をやるよ」「私はメッセージを書きます」とたくさんの隊員たちが参加に手をあげました。
ひとりで頑張らないで、私たちを頼ってほしい
フローレンスの子どもレスキュー隊員が、どのような想いをもって日々の病児保育やこのようなイベントを企画しているのか。
ある子どもレスキュー隊員の想いを、ご紹介させてください。
病児保育のひとり親プランを利用している親御さんには、様々な状況の方々がいらっしゃいます。
病児保育のプランを登録されていても実際の利用をためらったていたり、朝夕の引き継ぎ時間にはなかなかゆっくりとお話ができないのですが、本当は何かお話したいのかなと感じる親御さん。保育園と違って一期一会の訪問なので、時々あの親子はどうしてるかななんて思い出すこともあります。
なにかできることはないかとひだまりサロンを企画したり、今回のようにクリスマスカードをご家庭に送ることができて嬉しいです。気持ちが少しでも楽になる方がいたり、私たちこどもレスキュー隊員たちのことを頼りにしてもらえたりしたらもっと嬉しいですね。
大変な時はヘルプの声を上げていいし、人を頼るのもいい。ひとりで頑張りすぎない。助けてもらったことは、できるようになったら今度は自分が他の人に手を差し伸べるでいいんじゃないかと思います。ペイ・フォワードで優しく温かい社会が循環していったら素敵ですね。
想いに賛同するたくさんの人の手で贈られたカード
こどもレスキュー隊員たちの思いが込もったクリスマスカードは、お子さん用のメッセージカードとあわせて最後の発送作業へと移りました。
子ども達のためにサンタクロースのメッセージを手書きして下さったのは、フローレンスの支援企業であるセールスフォース・ドットコムにお勤めのボランティアの皆さん。
セールスフォース・ドットコムさんは、これまでにもフローレンスの「こども宅食」でのボランティアや社内での勉強会などを通じて、私たちの活動をサポートしてくださっています。
封入と発送作業はフローレンス神保町本社にて、多くのスタッフが参加して行われました。クリスマスカードが届いた時の親子の様子を想像しながら、赤い封筒にはそれぞれの気持ちが一緒に込められました。
フローレンスでは、寄付を原資とした安価な病児保育サービスの提供を通じて、ひとり親支援を続けて10年になります。
「1人で頑張らないで。みんなで子育てをしよう」
こどもレスキュー隊員、寄付会員、支援企業、ボランティアの皆さん1人ひとりの思いが形になり、今回も素敵なクリスマスのひとときをプレゼントすることができました。
こうした活動が継続できるよう、引き続きご支援をよろしくお願いいします。
編集部より:この記事は、認定NPO法人フローレンス代表理事、駒崎弘樹氏のブログ 2019年3月7日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は駒崎弘樹BLOGをご覧ください。