大阪ダブル選:結果は結果。あとで後悔しないように

昨日で東日本大震災から8年、テレビや新聞などでは様々な特集が放送されていました。
避難者と言える人が未だに5万1778人、そして行方不明者が2533人もいらっしゃいます。

毎日いろんな新聞を私は見ますが、産経新聞だけが先に述べたような数字を毎日、社会面に掲載しており、これは率直にいつも感心をしています。

行方不明者数も数ヶ月に一度くらいの割合でしょうか、1人減ること事があるのを見ると、その度に『まだ続いているんだな』と思い起こします。
改めてこうした天災を忘れずに、そして教訓にしたいと思います

さて、先週金曜日に大阪府の松井一郎知事と大阪市の吉村洋文市長が揃って辞任し、ダブル選挙になることが確定しました。大阪都構想の再度の住民投票を確実にしたい維新の会とそれを明言しない公明党との交渉が決裂したことが原因です。

今回のダブル選はダブルクロス戦とも言えます。
それは、現知事が市長に現市長が知事に入れ代わって出馬するからです。
なぜならば、知事や市長が辞任をした同じ選挙に出て再選した場合は、本来の残り任期と同じ期間しか勤められないからです。ところが今回のように立場を入れ替える事により、当選時より新たな4年の任期が始まるからです。

しかもこのタイミングで辞任をすることはもう一つ意味があると言われていますと言うのは4月7日には大阪府議選と大阪市議選があるので、全体の盛り上がりに繋がり、維新の会の府議、市議候補にとっては有利に作用するという計算があると言われています。

ということで、『大阪都構想の住民投票』という大義が勝つか、それとも『党利党略』だという指摘が勝つか。
さぁ、大阪府民・大阪市民の判断はどうなるのでしょう。
私個人的には大阪都構想に賛成をしてきました。けれども前回の住民投票から4年しか経っていないのに、また住民投票を行う事にはやや疑問を持っています。

4年前の住民投票結果は大阪都構想に反対が50. 4%、賛成が49. 6%と、僅かな差で反対と結論が出ました。その後、橋下徹大阪市長は任期満了をもって政界を引退しました。その住民投票から僅か4年しか経っていない中、再度住民投票をやる正当性がどれほどあるのかと、私は思います。

今後も結果が受け入れられないと、住民投票を繰り返すことにならないか。あるいは、政権が変わったら、住民投票の結果をひっくり返す為にまた住民投票をやることに繋がりかねないのではないかなど、懸念します。

さて、もう一つ興味深いのはイギリスです。
EUからの離脱を巡って、2016年6月23日にイギリスの欧州連合離脱是非を問う国民投票が行われました。その時の結果は、EUからの残留16,141,241(48.11%)、離脱17,410,742 (51.89%)と、僅差で離脱が決定しました。現在のイギリスのメイ首相は元々は離脱反対派で、この時行われた住民投票では反対票を投じました。ところが一旦国民の意思表示が出た以上は離脱を推進するということで、現在は首相としてEUとの離脱交渉をまとめ、今、泥沼の国会で悪戦苦闘しています。

裏を返せば、どんなに僅差であっても結論が出ます。
と言うことは、有権者もそれだけ真剣に投票しなければいけないということです。
後になってこんなはずじゃなかったとか自分は反対したのにと言うのなら、国民投票や住民投票の意味がないですからね。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年3月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。