予算委員会第七分科会 質問要旨:Data Free Flow with Trust

昨日と今日で、経団連が初めて議長役を務める20カ国・地域(G20)の経済界サミット(B20)が開幕されています。データの取り扱いと貿易・投資ルールを巡る議論など、世界で自由なデータの流通の重要性を民間のステークホルダーで確認して共同提言をまとめ、6月に大阪市で開く首脳会議に意見を反映させることが見込まれています。

世界のデジタル化により、データの取り扱いに関する議論は、国際競争および安全保障の観点で日本はもちろん、世界各国にとっても重要性が増しており、私も先日開催された衆議院予算委員会第七分科会で質問に立ちました。

すでに第二分科会での発言についてブログに書いた通り、予算委員会には通常、所管省庁ごとに最大8つの分科会が設けられます。第七分科会は経産省所管で、産業に関わるすべての事案について幅広く質疑が展開されます。私も今回、データ、特にData Free Flow with Trustの実現とそれに伴う個人情報保護法の在り方についてと、系統連系協議に関するJET認証について、世耕大臣および経産省の担当部門と質疑を交わしました。今日はデータに関する質疑を解説します。

Data Free Flow With Trust (データ フリー フロー ウィズ トラスト) は最近DFFTと省略して呼ばれ、今年一月に開催されたダボス会議に出世した安倍総理が、データ流通に関する国際ルールを策定するため、世界貿易機関(WTO)の下で交渉枠組みを設けることを提案したことで話題になりました。身の回りのあらゆるものがインターネットに繋がる「IoT」により、これまで取得できなかったデータを収集でき活用できるデータ時代が到来しており、今までにない新しいルールを作って行くことになります。

今回の質疑で総理とダボス会議に出席された世耕経産大臣にその背景を確認しました。要点として:

  • 個人情報保護一つとっても、日本は個人情報保護法、EUはGDPRというルール、アメリカはどちらかというとルールなしという感じで、やはり自由主義国、自由主義経済圏をとってもこれだけ違いがあるので、そこを、ウィズ・トラストという、相手のシステムはある程度尊重しながら、だけれども、ある一定の基準はクリアしているかどうかはチェックする。
  • TPPでは一定程度、データについてルールを盛り込むことができたので、同様にWTOで、まずデジタル貿易に関するルールという形でしっかりまとめていくことが重要だと考えている。
  • 二年前のブエノスアイレスのWTO閣僚会合で、日本とオーストラリアとシンガポールが共同議長国となってスタートをさせた会合を、正式に電子商取引有志国会合として先日のダボス会議の機会に開いて、76の加盟国が参加をするということを公式に宣言して、交渉開始の意思を確認するという共同声明を発出できた。

ということで、76カ国の合意を取り付け国際的なルール形成が進むことは大変大きな成果である一方で、イノベーションがおきやすいような国内のルールデザインが重要な課題となります。

データに関わる既存の法律である個人情報保護法は見直しが検討されていますが、それにあたり、規制強化の観点だけではなく、イノベーション推進の観点も必要です。民間企業の自主的な取り組みの促進が重要であり、米国NISTのプライバシーフレームワークなどを参考に、認定個人情報保護団体制度を使いやすいように見直していくべきではないかと私は考えています。今回の質疑において、所管する個人情報保護委員会に現状を確認しましたが、検討が始まったばかりで、具体的な方向性が出ていないとのことなので、今後所属する党のIT戦略特別委員会でもフォローアップしていきます。

また、個人情報保護法のもと、各自治体に個人情報保護条例というのが約2000種類ある実態があります。これも整理しないと、やはり自治体、行政機関が持つデータも流通することはできません。このあたりは私が毎日唱えている、必要なルールについては国で標準化を図っていく、ということもぜひ経産省に検討して欲しいと発言しました。

例えば、医療情報の取扱いについては厚労省・経産省・総務省の三省がそれぞれガイドラインを作成しており、民間の事業者は国のガイドラインに合っているのか確認するために3倍の手間がかかっています。経産省と総務省のガイドラインは統合に向けて議論が進んでいますが、本来厚労省のガイドラインとも統合し、1つのガイドラインに集約することが必要です。

ヘルスデータの活用は、人口減少、人生100年時代、また医療従事者の働き方の観点においても非常に期待されている領域にも関わらず、昨日の日経の調査報道からもわかるように、ほとんど進んでいない実態があります。

今回の答弁でも、厚労省は昨年12月から、医療機関、弁護士の方々、情報サービス事業者、そのほか関係団体の有識者から成る検討会を総務省と共同で立ち上げて検討を進めているとのことで、経産省と総務省のルール統合の議論に参加せず、別のルール形成に向けて走り出していることがわかりました。本件についても今後もIT戦略特別委員会事務局次長の立場で改革に取り組んでいきたいと思います。

JETに関する質疑は、周辺情報も含め、別の機会に共有したいと思います。

LINE@などそれぞれのSNSで、イベント登壇情報や政策に加え、スペシャルコンテンツをお届けしています。ぜひ登録お願いします。

友だち追加

小林 史明  衆議院議員(広島7区、自民党)

自民党青年局長代理、行政改革推進本部事務局長。 電波、通信、放送政策、海洋水産政策、社会システムのデータ、標準化に取り組んでいる。2007年上智大学理工学部卒業後、NTTドコモに入社。2012年の衆院選で自民党から立候補し、初当選。第3次、4次安倍改造内閣にて総務大臣政務官(情報通信、放送行政、郵政行政、マイナンバー制度担当)。公式サイト。LINE@では、イベントのおしらせや政策ニュースをお届けしています。登録はこちら


編集部より:この記事は、衆議院議員、小林史明氏(自由民主党、広島7区)のオフィシャルブログ 2019年3月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は小林史明オフィシャルブログをご覧ください。