なんで依存症だけ理解できない人が多いのかな?

土曜日は大阪相談会、日曜日は岡山相談会でした。
相談会を開催し毎回思うのは、みんなあまりに情報不足と情報過多なのです。

つまり安直な情報は沢山あるけれど、有益な情報があまりに少ないために、自分の人生がピンチに陥った時に、融通が効かないんですよね。

写真AC:編集部

現在、ピエール瀧さんの薬物問題でつくづく感じますが、薬物依存問題なんて昔からあって、一度だってこの世から撲滅できたことなんかないんですよ。だからいっくら「ダメ、絶対」なんて言ってたって、なくなりゃしないってことをいい加減受け入れて、安直な教育をやめましょうよ!って思うんですね。

ダメ絶対って教育は全てにおいてそうですけど、実は何の解決策にもならないんですよ。
だってみんなやっちゃダメなことってあれもこれもあるな~って分かってるじゃないですか。

例えば、

「いじめダメ絶対」
「DVダメ絶対」
「虐待ダメ絶対」
「多重債務ダメ絶対」
「自殺ダメ絶対」

なんてスローガンを次々作ったとしてもですよ、こういうことって、みんなダメなことは分かってるけど、ダメ!っていくら言ったってなくならないから対策しなくっちゃ!ってなっていってるじゃないですか。

ところが何だか知らないけど、薬物だけは「ダメ絶対」以上。
で終わってるんですよ。

「犯罪」とか「違法」とか「必要以上の怖がらせ」によって、みんなの思考が「何だか分からない得体の知れないもの」ってことで停止してるんですよね。しかも薬物だけじゃなく依存症全体がそんな感じなんですよね。

ちゃんと知らないから、表面的な「ダメ絶対」でお終い。
だけど「虐待ダメ絶対」って、標語掲げてるより、虐待の通報システムを強化したり、虐待加害者のプログラムを作ったり、被害者を保護できる仕組みを作った方がよい!ってこと、そっちはみんな理解できるじゃないですか。

しかもですよ、「虐待がある」ってことをこの世に広めたからって、それに興味持ってみんなが虐待したりします?
虐待加害者も「プログラムで回復できるなら、俺も一度子供殴ってみよう…」なんて思います?

もしくは虐待者を発見して、その人をさらしものにすことで、自分の子供を虐待しないようにしよう!と戒めになります?

違いますよね?やらない人は何を聞いてもやらないし、むしろ詳しい情報を聞くことで、自分も何か目撃したら役に立とう!地域の子供達のSOSを見逃さないようにしよう!
って、役立つ訳だし、もし虐待している人が、自分の知り合いだったらですよ、
秘密は守られるから、治療に行こうよ!って言いません?お前をさらしものにして懲らしめることでやめさせてやる!って思います?

ところが依存症、特に薬物依存だと、「回復の話しをすると手を出してもいいと思う人がいる」とか、「薬物に手を出したんだから、さらしものにした方が抑止効果がある」って何故か思うんですよ。特にワイドショーが。
めちゃくちゃおかしいし、逆だし、迷惑この上ないです。

そして依存症についてはこの役立たない「ダメ絶対教育」しかないから、情報過多で誰にも言えずに身動きとれず問題は悪化、逆に回復や相談の情報は不足しているんですよね。

ホントちょっと考えれば分かることなのに、感情的で思考停止者しかワイドショーに出てないんですよね。
そのお陰で、依存症のご家族の苦しみが長引くばかりで、やっぱ「ダメ絶対」教育は迷惑千万だなぁと思う次第です。


田中 紀子 公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)です。 著書:「三代目ギャン妻の物語」(高文研)「ギャンブル依存症」(角川新書)「ギャンブル依存症問題を考える会」公式サイト