いよいよ統一地方選挙の火蓋が切って落とされたが、国政レベルにまで影響しそうなのは、何といっても北海道と大阪の首長選挙だろう。
与野党対決型の北海道知事選挙は、自民党にとっては負けられない選挙である。
ここで擁立した候補を落とすようであれば、いくら選挙に強いと言われる自公連立選挙であっても野党統一候補には敗れる、ということが明らかになる。
北海道知事選挙の結果次第では、野党間の選挙協力と参議院選挙における候補者の一本化の動きが急速に進み、安倍政権の前途に黄色いランプが点灯するということになるのだろう。
私の見ている範囲では、自民党が擁立した候補の方が有権者にアピールするだろうし、現に優勢裡に選挙戦を進めているように見えるのだが、選挙期間中のほんのちょっとした動きで一気に流れが変わることがあるから、今は何とも言い難い。
二階さんは大阪市で第一声を発したようだが、自民党が何が何でも死守しなければならないのは北海道知事選挙の方だろうから、大阪の選挙への肩入れはほどほどにされることだ。
大阪府知事選挙と大阪市長選挙は、大阪維新と大阪の公明はじめ維新以外のその他の政党の集団の一大対決のような形になっているが、ここで自民党が擁立した候補者が勝っても自民党には殆どプラスはない。
維新叩きを目論んでいる方々からすれば松井氏や吉村氏を追い落とすことが出来れば万々歳だろうが、大阪にとっても自民党全体にとっても、それがいいことか疑問である。大阪万博を控えて、大阪の行政が引っ繰り返るような事態になっていいのかどうか。
報道されているところから判断すると、大阪市長選挙では維新の松井氏の苦戦が必至のようである。
万一大阪府知事選挙と大阪市長選挙の結果が捻じれてしまうようなことになってしまえば、大阪は身動きできなくなるのではないか。
悪く運ぶと今回の大阪ダブルクロス選挙は、大阪の行政全般の遂行に停滞を齎しかねないマイナスの選挙になってしまう。
決してそうなりませんように。
遠くから、そう祈るだけである。
保守分裂選挙は熾烈な戦いになりがちだが、回避すべきではない
このくらいの競争はあった方がいいだろう、というのが私の見解である。
福岡、福井、島根、徳島の4つの県知事選挙が保守分裂選挙になっているが、それなりの候補者を擁しての選挙だから、有権者は自分の一票の重みを感じながら投票することが出来る。候補者やそれぞれの支援組織にとってはしんどい選挙になるだろうが、大方の有権者にとってはそれなりの選択肢があることはありがたいはずである。
選挙は末代まで祟る、と危惧する声があるだろうが、くれぐれも後にしこりを残さない綺麗な選挙を実現していただきたいものである。
熾烈な保守分裂選挙は、買収、供応の横行するダーティーな金権選挙になり易いと言われてきたが、さて平成最後の知事選挙はどうなるか。一件の選挙違反もなければ、ようやくクリーンな選挙が徹底してきたということになる。
保守分裂選挙で、どういう選挙運動が展開されるのかに注目している。
選挙の結果を見るのも楽しみである。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2019年3月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。