知事選挙など

石破  茂 です。

21日、全国11道府県の知事選挙が告示されたのを皮切りに統一地方選挙がスタートし、地元の平井伸治鳥取県知事候補の出陣式で自民党県連会長として挨拶した後、愛知県と大阪府を廻ってまいりました。

福井、島根、徳島、福岡など本来自民党が強い県で分裂選挙となっているのが今回の特徴ですが、政策の相違というより多選批判や自民党内の勢力争いに起因するものが多く、有権者の戸惑いには相当のものがあるようです。「野党があまりに弱いので大きくなり過ぎた自民党が割れる現象がおきている」のは確かにその通りですが、それは「野党が付いた方が勝つ可能性が高い」ということでもあります。

かつて鳥取県でも、1999年、4期を務めた西尾邑次知事(故人)の後継を巡って鳥取県出身の自治省高官を推すベテラン県議グループと、岡山県出身ながら鳥取県で総務部長を務めた同じく自治官僚の片山善博氏を推す若手県議グループが対立し、危うく分裂になりかけたことがありました。

当時私は片山氏を推す立場にいたのですが、同じ自治省出身の平林鴻三代議士(元鳥取県知事・森内閣で郵政相・比例中国ブロック選出・2003年勇退)の裁定により知事候補は片山氏に一本化されました。その後しばらくはゴタゴタしたのですが、やがてすっきりと纏まり、晩年の西尾前知事には私も随分とお世話になりました。中選挙区時代に私と激しく争った平林先生のご決断には今も感謝しておりますし、それが今日の鳥取県政の安定に繋がっています。重大な局面で人を得ることの大切さを今もしみじみと思います。

16日土曜日に大分県宇佐市安心院(あじむ)で開催された「日本農泊連合結成記念シンポジウム」で記念講演をしてきたのですが、このシンポジウムの主眼は「バカンス法」の制定にありました。フランスをはじめとする欧州の多くの国には「有給休暇取得率」という概念が存在せず、有給休暇は権利として100%取得、そのうち何日かは細切れではなく連続してとることが当然とされており、彼我の差には大きなものがあります(フランスでは個人が勝手に有給を放棄すれば健康保険を受給する権利を失う、との話もありますがこれは要確認)。

仮に法制度を整備して労働者の有給休暇連続取得を可能としても、その受け皿がない、子供の休みと重ならないなどの問題点も多々指摘されていますが、農泊の推進も含め、労働者の健康保持や生産性の向上、農山漁村の活性化という観点からも真剣に検討し、ILO52号条約も視野に入れて実現に向けて努力したいと思っています。

振り返ってみれば1979年に銀行に就職して以来、新婚旅行以外で3日以上の休みを取ったことがないのが自分の現実です。銀行員時代は高度経済成長時代の名残りがあった頃で、勿論週休2日制度もなく、土曜日は「5時に仕事が終わる日」、有給の日は「自分の名前で書類を作らない、自分の判を推さない『居ないことになっている』日」というような位置づけでした。

日曜日に独身寮ですることもなく過ごしていた時に「早く明日が来ないかな」と思い、これはワーカホリックの初期症状ではないかと恐ろしくなったことを鮮明に覚えています。妙に毎日が楽しかったのもまた事実ですが、若手社員でまだそれほど責任が重くなかったからだったのでしょう。

家庭や家族を大切にし、会社の仕事以外の人生の価値を見出し、「自分がいなければ」と言う思い上がりを排し、健康を害してかえって社会に迷惑をかけることもなく、仕事の質を上げていくためにも適切にお休みを採ることは必要なのですね。

週末23日は福岡Student&Scholar&Lawyer講演会「憲法改正 保守の原点を学ぶ」で講演(午後1時・西南学院大学)、その後24日日曜日にかけて佐賀県内を遊説、25日月曜日は時事通信社内外情勢調査会福岡支部で講演(正午・西鉄グランドホテル・福岡市)、その後山梨県に移動する予定です。

来週には東京の桜も満開となるようです。皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。


編集部より:この記事は、衆議院議員の石破茂氏(鳥取1区、自由民主党)のオフィシャルブログ 2019年3月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は『石破茂オフィシャルブログ』をご覧ください。