4月4日付けの日経新聞によると、米国で買い物や飲食の代金支払いに現金を使わないキャッシュレス決済に反発する動きが広がってきたそうである。ニュージャージー州は3月18日、小売店に対し、米ドルなど現金での支払いを受け付けることを義務化する法律を制定したとか。
米国の都市部ではクレジットカードやスマートフォン(スマホ)を使った決済しか使えない店舗が増えているそうである。これに対し現金で払う頻度が高い低所得層が新しい金融サービスの恩恵を受けられずに排除されるとの声も出始め、そのため自治体が動きを見せたようである。
現金を使わないキャッシュレス決済には、クレジットカードや銀行口座を介在するケースが多く、それを持たない人が排除される懸念はある。ただし、現金をプールするかたちでのFeliCaを使ったカードは使えると思われるが、米国では「Apple Pay」などはあっても、カード形式のものはあまり普及はしていないようである。
キャッシュレス決済の普及により、店舗側としては現金を銀行口座に振り込むなどの作業は軽減できる上に、データの集計も楽になり、現金を保有することによる盗難などのリスクも軽減できる。これに対して、キャッシュレス決済には一定の手数料が掛かることも導入にあたりネックとなっていようが、すべての利用者がキャッシュレス決済を利用できない点もやはり配慮する必要はありそうである。
日本では大きな震災なども経験し、停電時にはキャッシュレス決済が利用できなくなるというリスクもある。さらに国内では現金の利用がどこでもできることで、どうしても現金の利用も多くなり、財布には現金を入れておかないと不安となる。
日本のキャッシュレス化についても、その拡大にはやはり限界は出てくるとみられるが、それ以前にひとつ気になるのは、日本のキャッシュレス決済にはどうしてもクレジットカードが介在している点である。
銀行口座に紐付けされてデビットカードのように直接、口座から現金が引き落とされれば、必要とされる手数料も軽減できるのではなかろうか。QRコードを利用した個人同士や個人と店舗との口座間での現金振替なども可能となれば、利便性は高まると思うのだが。
編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2019年4月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。