「スマホのせいで、人々は無縁になった」は間違い

こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
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「死ぬこと以外かすり傷」に学ぶ、クレイジーに生きる魅力の著者の箕輪さんは大変印象的なことを言っていました。それは、「人々はスマホという小宇宙に住むようになった」というものです。

日本人の共同体意識とチームワーク

日本人は強い共同体と共属感情を持っています。同じ地域で生まれ、同じ言語を話し、同じ日本生まれの商品を使い、日本の文化に浸っています。そうした理解共通性の高いコミュニティで生活をすると、自然と共通の価値観、共通の文化を共有することに喜びを感じることになるのです。これはすなわち、共通の話題を共感し合うことで、幸せを感じるという価値観です。

私が小学生の時はスマホがありませんでした。クラスメイトがしていた話題は、もっぱらテレビか漫画、ゲームというものです。小学校では、どの芸能人が好きとか、昨日のテレビみた?という話題で持ちきりにとなっており、昔からテレビが嫌いでほとんどみない私は異端児扱いをされてしまいました。「みんなの話題に入るために、努力してでもテレビを見なさい」と言われた時には、「なんでそんなことしないとダメなんだよ」と強い反発心を持ったものです。

そんな共同体への帰属意識は未だに根強く、会社への愛社精神を持つように奨励されたり、同調圧力があったりします。これが強い結束力と、チームワーク力になり、日本人はビジネスの世界で生き残ってきました。しかしながら、私のようにものすごく個の強いタイプの人間にとっては、なかなか息苦しさを覚えてしまいます。

スマホを持ち、人々は無縁になった?

しかし、スマホを持ったことで人々の理解共通性はかなり薄まってしまいました。今どきの小学生はYouTuberを見て楽しんでいると思うのですが、その中にはYouTubeでヒカキンさんやはじめしゃちょーさんを見ない、「異端児」もいることでしょう。

昔は私がそうであったように、異端児は孤独になるしかありませんでしたが、今ではインターネットという宇宙で自分と同じ価値観、共同体を求めてつながることも可能になりました。それにより、現実の世界で人々は縁が切れやすくなり、そのかわりインターネットという仮想の世界で人々はつながるようになったのです。

今の私はまさにこの状況になっています。人生の中でまったく縁がなかった熊本県という地方に住んだことで、それまでのリアルな交友関係はすべて切れてしまいました。この土地で私は知人、友人は一人もいません。私に繋がりのある関係者は、奥さんと子供、それだけなのです。

しかし、インターネットに繋げば、私には数々の仲間がいます。スマホのボタンを押せば、即座にそんなビジネスパートナーや、コンサルタント、投資仲間とコミュニケーションが始まりますから、寂しさは全くありません。

人々はスマホという小宇宙に住んでいます。小宇宙のどこかには、自分と極めて似たような価値観、考え方をする人を見つけ出すことが出来ます。人々はスマホを手に入れたことで、そんなバーチャルなつながりを獲得する術を得たのです。ですので、よく聞く「スマホの登場で人はつながりを失った」という主張は間違いだと思ってしまいます。

リアルが無縁でも孤独感はない

「孤独」とは物理的なものではなく、徹頭徹尾精神的なものだと思っています。東京にいけばまさにそれがわかります。多くの人が往来する中で、つながりをもたない人は孤独感があるでしょう。しかし、私がそうであるように物理的に繋がりがなくても、目に見えないつながりがインターネットの宇宙にある、それだけで充実感と共同体への帰属意識が生まれるのです。

そう考えると、人のつながりというのは最初からずっと仮想であるように思えてきました。手に触れられる、目を見てコミュニケーションを取る、これこそが血と心の通ったやり取りのように思われがちです。しかし、意識と意識の交流がなされれば人は孤独感を覚えることなんてないと思ってしまいます。

私は田舎に住んでいることで、ビジネスのハンディキャップを感じることはありません。収入の99%をインターネットから得ている立場ですから、顧客、取引先、ファンの方との交流はインターネットで完結してしまいます。

「インターネットなんてしょせん仮想に過ぎない」などといって、リアルの良さを訴える人がいます。しかし、私はコミュニケーションのほとんどをインターネットで取るようになったことで、仮想こそが実態であり、意識を届けることが出来るインターネットでの交流で十分だと思ってしまいます。

そんなことを死ぬこと以外はかすり傷、をオーディオブックで聞いて感じました。「スマホのせいで人はつながりがなくなり、不幸になった」という主張は間違っていると思ってしまいます。最初から最後まで、人と人とは肉体的ではなく、意識という精神的なつながりと交流によって幸福は醸成されるのです。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。