生涯一度だけ見た父の動揺

写真は実家から貰った私の部屋の時計で、父が設置した。

私の父は、自分の人生に誇りを持って生きている。よって、生まれて40年、弱気な父など一度も見たことがない。そんな父の「素の姿」を一度だけ垣間見たことがある。それは、祖父が余命宣告を受けた時だ。

2人で出かけた時に、父が私にボソッと「親父が死ぬことを受け止められない自分がいる。」と言った。父は言葉にしなければ気がすまない程、動揺していたのだろう。

父にとって祖父は「越えるべき壁」だった。私にとって父がそうであるように。死んだ人には勝てない。生きてる間に越えた姿を見せる必要がある。

幸いにして、私の両親は健在で、2人の死を意識したことは一度もない。しかし、その時はいずれ必ずやってくる。

それまでに私の生き様を見せつけて、両親に「まいった!」と思わせることが、今後の人生の一つの目的である。

恩田 聖敬


この記事は、株式会社まんまる笑店代表取締役社長、恩田聖敬氏(岐阜フットボールクラブ前社長)のブログ「片道切符社長のその後の目的地は? 」2019年4月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。