日本人はもっと「いい加減」に生きた方が幸せになれる

写真AC:編集部

海外旅行から日本に帰ってきてまず思う事は、日本の清潔さと静寂です。

そして、もう一つ感じるのは、あちこちに見られる「過剰なサービス」です。

例えば、東京のメトロに乗っていると、ダイヤの時刻にわずか数分遅れただけで、車内アナウンスで車掌さんが謝罪をしています。

そもそも遅れた原因は運転の問題ではなく、乗客の乗り降りに時間がかかり過ぎたり、事故や故障です。しかも、それが数分の違い。なぜ、毎回謝る必要があるのか私には理解できません。

あるいは、コンビニエンスストアでは、数百円の買い物をしても、丁寧に袋に入れて、持ちやすいようにビニール袋を綺麗に巻いて、深々とお辞儀をする店員がいます。サービス料を払うわけでもないのに、ここまでする必要あるのでしょうか?

どちらも、海外では考えられない光景だと思います。

サービスを受ける側からすれば、日本のサービスのクオリティは素晴らしい!と言うことになります。これこそ日本文化の美徳と賞賛する声もありますが、供給者側には大きなストレスがかかっています。

電車の運行時刻のように決められたスケジュールは、1分の遅れもなく完璧に守らなければいけない。そして、アルバイトで働いているコンビニの店員は昼も夜中も関係なく、過剰ともいうべき丁寧さでサービスを続ける…。日本社会にはこのような「過剰に完璧」を求める習慣があちこちに残っています。

こんな対応を止めて、そろそろもう少しいい加減になっても良いのではないでしょうか。

もし、電車の時刻が2、3分遅れたところで、大した事ではありません。絶対に遅刻したくないと目くじら立てて怒る人は、万が一電車が遅れても遅刻しないようにもっと早く出かければ良いのです。

コンビニの不必要に過剰なサービスを提供する必要もありません。セルフレジを導入して、省力化を進めた方が利用者にとってもメリットが大きいと思います。

消費者の過剰な要求が、日本の高い品質を作ってきたと言う側面は否定できません。しかし、そのためのコストが莫大になって、もはや維持するのが困難な段階になっていると思います。

また、失敗を認めず、完璧を目指すアプローチは、高品質の工業製品の大量生産には向いています。しかし、事業環境が刻々と変化する今の時代にクリエイティブなビジネスを開発するのには不向きです。「完璧に遅く」よりも「いい加減に早く」の方が、勝者になりやすいのです。

いい加減でも良いから、スピードを重視する。日本社会がそんな変化を受け入れる柔軟性を持たなければ、動きの速いグローバル経済での日本のプレゼンスは、今後さらに低下していく。海外に出かけて改めてそんな懸念を強く持ちました。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2019年4月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。