政府の氷河期世代対策に「20年遅すぎに草も生えない」の指摘

いらすとや

安倍首相が10日の経済財政諮問会議で「国の将来に関わる重要な課題」と力説するなど、政府の就職氷河期世代対策がようやく動き出した感があるが、翌日のツイッターでは「生活保護入り」がトレンド入りするなど、その政策目的に注目が集まった。

ツイッターに配信された関連報道で特に注目を集めたのが産経新聞の『ひきこもり多い氷河期世代…「生活保護入り」阻止へ早期対応』。氷河期世代のうち、非正規や無職など400万人が年をとってから生活保護の対象者になる可能性を指摘し、政府の「危機感」を伝えた。

しかし、対策の背景に生活保護阻止という「本音」がのぞけたことに戸惑いの声も続出。

20年遅すぎに草も生えない

氷河期世代の生活保護阻止とは泣ける。 ほんと一生かけてヒドイ扱いだ

『生活保護入り阻止』ってあまりにもあんまりな言い草じゃない?こうなる事は当時からわかってたでしょ。何処の誰の無策がこういう事態を招いたのか。完全に手遅れだよ。

対策にひきこもりの就労支援が盛り込まれていることについて、経営者とみられるネット民からは

自分も氷河期世代だし、如何にかしてやりたいとは思うが、この世代を、しかも引き籠っていた者を戦力として雇えるかと言えば「無理」。

と厳しい見方を示していた。さらにはこの4月から拡大された外国人労働者の受け入れとの「矛盾」を指摘する声も。

ならば外国人より氷河期世代の人の雇用を促進するべきだし、生活保護費が大変と言うなら、法律に則っていない外国人の生活保護を打ち切ればいいだけ。

有識者では、貧困問題に詳しい立教大学大学院の稲葉剛教授は「必要に応じて社会保障制度を利用する権利も含まれる」と批判的な見方を示し、

キャリア問題に詳しいジャーナリストの渡邉正裕氏(My News Japan 編集長)は、「持ち家あって家賃ゼロ、親の年金20万あったら十分暮らせるから、あえて働く気にならんのもわかる」「問題は72歳からの無年金生活」などと独自の見解を示した。

また、風刺漫画家のはすみとしこ氏は「「生活保護入り阻止」とはどんな具体案なのでしょうね。窓口で追い返すだけかしら?」と疑問を示し、「建設的な案を出さねばなりません」と注文をつけた。

編集部でネットの反応を概観すると、冷めた見方を示しているのは、安倍政権に批判的な人たちとは限らなかった。就職氷河期当時の政治家の「戦犯」名を具体的に挙げる人も散見された。

アゴラ執筆陣で、このほど氷河期世代のロビイング団体「パラダイムシフト」を設立した与謝野信氏も指摘するように、これまでの政治が高齢者偏重だったために見捨てられてきたことへの絶望感が漂う。政府の危機感が本物なのか、若者層の支持を意識した安倍政権の「選挙対策」にとどまるのか、ネット世論は見極めようとしている。