日本の生産年齢人口が過去最低に
日本の生産年齢人口が過去最低になったことを、きのう(4月12日)NHKが報じました。
「総務省が発表した人口推計によりますと、去年10月1日現在の日本の総人口は1億2644万3000人で、前の年よりも26万3000人減って、8年連続の減少となりました。15歳から64歳までの「生産年齢人口」の割合は59.7%で、比較可能な昭和25年と並んで過去最低となりました」
『日本の人口 8年連続減少 生産年齢人口は過去最低』(NHK, 4/12)
もちろんこれが底ではなく、今後も高齢者は増え続けますが、ベビーブームが生まれなかったことで生産年齢人口は下がり続けます。この傾向は2040年まで続きます。そのために、医療・介護といった社会保障の負担はますます上がり続けます。
今のところは日本人の貯蓄が大きいために借金(国債)でカバーしていますが、現在の40-50代の資産はその上の世代に対して目減りしており、やはり2040年頃には国債に頼れなくなります。
2040年まであと20年。今年から始まる令和の時代に、真っ先に取り組むべきは、社会保障改革です。
老人の定義を75歳にできるか
視点はあります。例えば日本老年医学会は、現在の高齢者の加齢が、10-20年前とくらべて5-10年遅延している(すなわち若返っている)ことから、高齢者の定義を75歳にすることを提言しています。
仮に生産年齢人口を64歳までではなく、74歳までにすることができれば、2040年代になっても生産年齢人口は70%弱となり、現在と比べて減ることはありません。このことは、小泉進次郎議員ら自民党若手議員の勉強会にて議論させて頂きました。
小泉進次郎議員による、令和時代の社会保障改革
小泉議員は、自民党の厚生労働部会長として現在も社会保障政策をリードしています。丁度今日の日経新聞四面でも、現在の提言の内容が紹介されています。一部抜粋します。
「提言は冒頭に「令和の時代には人生100年時代の到来などの構造変化に対応した、新しい『この国のかたち』の基礎となる社会保障改革が必要だ」と明記した。
65歳以上を一律に「高齢者」「支えられる側」とする現在の制度は「財政的に持続不能」で「生き方や働き方の多様化にも対応できない」と指摘した。「給付削減か負担拡大かという発想を超えた社会保障改革の第3の道を進める」とした。
「第3の道」は社会保障の支えられる側を減らし支える側を増やす発想だ。高齢者や女性らの就労を促すため、特定の年齢や働き方が損しない社会保障制度を掲げた。社会保険料を払う勤労者が増えれば社会保障制度の持続性が高まるとみる」
『「勤労者皆社会保険」を提唱 時短・兼業…多様な働き方を支援 小泉氏ら自民PT』(日本経済新聞,4/12)
給付削減でもなく、負担拡大でもない、社会保障改革の第三の道、という考え方に私も賛成しています。医療・介護・年金について、必ずしも無駄が多いわけではありません。下手に削減をすれば、社会の不安を招きます。一方で、消費税を上げるにしても、保険料を高めるにしても、現役世代の負担が高まります。しかし、国債頼みもやがて限界がくる。
一刻も早く、「老人」の定義を変える必要があります。そしていかに健康なまま、多くの方が75歳まで社会保障の支え手でいられるか。私達の世代一人一人の意識と、社会の考えを大きく転換させる必要があります。
編集部より:この記事は、一般社団法人RCF 代表理事、藤沢烈氏の公式note 2019年4月12日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は藤沢氏のnoteをご覧ください。