短くなったモノやサービスの賞味期限:人も同じ

One OK Rock のTakaと言ってぱっと頭に思い浮かべられる人は時代の流れにしっかりついてきています。森進一と森昌子の息子と言えばあーあー、というでしょう。このOne OK Rockは割と幅広い層でかなり受けているロックバンドで強い影響力を持っています。そのTakaさんこと森内貴寛さんが産経のインタビューで「僕らの“賞味期限”は、そんなに残っていない」と発言しています。

歌うことは好きだし、自分のなかで唯一誇れるのは、歌しかない。歌以外にやりたいことがあるかと言われても、思いつきません。でも、いまのひたすら前に向かい続けるスタイルのままでいられるとは思っていない。どこかのタイミングで、もっとリラックスして、好きな歌を、好きなときにだけ歌うようなスタイルに変えたい、変わっていくんだろうなと思っています。

素晴らしい考え方ですね。さすが慶応育ちで高いレベルの仲間たちに啓蒙されたのかもしれません。同じエリートでも嵐の桜井さんとはまた違ったもっと粗削りの挑戦状をたたきつけているように見えます。

写真AC:編集部

多くの人は成功体験にしがみつきます。今のビジネスが低空飛行だろうが超高度の飛行だろうが、ずっと安定して永遠に続けばいい、と考えています。お給与をもらっている人たちも毎年ちょっとずつ昇給があって安定した給与とボーナスがあればいい、と考えています。私だって計画性という意味では安定した給与はとても大事です。

先日、某大手テレビ局に勤める高校のクラスメートと食事をしていた際、彼に聞きました。「君の会社の定年は何歳だい?」「60歳で選択肢がある。一つは大幅給与ダウンの契約社員になるか、ある程度の社内評価があれば関連会社に天下りして地方で5年。それで終わり。」どちらも65歳までの設計です。つまりずっと高給をもらい続けることはできず、50代後半から給与の高度は下がり、60歳で大きく降下、65歳で着陸というシナリオではないかと思います。

私は彼に言います。「我々の余生は65歳からはまだかなり長いよ。人生100年となれば35年もある。つまり、1/3も残っているわけだ。どうするのよ」と攻めます。そこで彼はうめくようにつぶやきます。「自営といってもなぁ。何ができるかなぁ」。

Takaさんが立派だと思うのはOne OK Rockというグループが大きく認知され、ファン層が多いにも関わらず次の自分に挑戦するスタイルでしょうか?私は芸能には疎いのですが、彼はジャニーズ出身ですが、そこを脱退したことで圧力がかかったような気がします。Takaさんはその戦いに彼の心の中で一定のめどがついたことも変心できるきっかけになったのではないかと想像しています。

永遠の賞味期限はない、いや、その鮮度はどんどん短くなっていく、という話はこのブログで何年も前からつぶやき続けてきました。大企業になると時代の変化に対して身動きが取れなくなるから一方向に突っ走るのは危険、と。

コンビニの出店競争もここにきて180度方向転換で守りの姿勢に変わります。セブンのみならずローソンは決算見込みで大幅減益、配当も255円から150円へ大きく減配を発表し、売り込まれました。不採算店を閉めるなど規模から質に転換するようです。最近耳にしたある若い女性の言葉が気になります。

「コンビニ弁当って高いし、おいしくない」。
えっ!です。そして続く言葉が「やっぱりお弁当はお弁当屋の作りたてがいい」と。

世の中のトレンドなど1日で変わることすらあるのです。何でもあるコンビニは何の特徴もないからそこでどうしても買わなくちゃいけないわけではなく、緊急避難的インフラである、と。

同様に無印良品の良品計画も大苦戦で株価も大きく下げています。無印良品は西武の堤さんが当初、「無印がブランドになったらおしまい」と部下に叱咤していたのですが、今やブランドとしての無印が流行の波に飲み込まれてしまったことは経営戦略に間違いがあったのかもしれません。

時代の移り変わりが激しい中で一つのビジネスモデルのライフは5年ぐらいに縮まってきてる感じがします。それは人も変わらざるを得ないのかもしれません。もちろん、「俺は何も変えない」という信念は大事です。変えない部分と変える部分の組み合わせだろうと思います。あのスターバックスでももがいています。どうやったら一杯のコーヒーからコミュニティを生み出すかと。

賞味期限が切れれば使い物にならない商品となります。人も同じ。ならばだめになる前に対策を打つ。あるいはヒットして調子に乗っている時こそ、次の手を打つ絶好の機会だと考えねばならないのでしょうか?私の友人で某省庁の方が「50になって考えたこと、人生、再出発。そのために夜学のMBAコースに行っています」と私に嬉しそうに学生証を見せてくれました。すごいです。

これでは人生、ほっとする間もないのですが、飽きさせないライフともいえるのでしょう。私は結構好きな生き方です。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年4月15日の記事より転載させていただきました。