会社という組織は、実は非常に高コストです。
まず、適正人材を適正配置することに不向きです。
社員は簡単に解雇することができません。しかし、人材の流動化が始まった日本の労働市場では、優秀な人材はより良い仕事を目指して辞めていきます。その結果「給料>能力」の社員だけが残ってしまう傾向があります。
つまり、会社に残っているできる人ができない人のコストを負担し、割を食う構造になっています。
また「社内手続き」というお作法にこだわるあまり、根回しをしたり、社内で稟議を回したりと、意思決定に時間とコストがかかります。
大きな会社になればなるほど、即断即決ができない。社内の関係者向けのメールにCCを入れまくって、コンセンサスをとっていく。そんな、非効率なやり方になりがちです。
このようなデメリットがあるにも関わらず、会社に所属する労働者が存在し続けたのは、つい最近までは個人で仕事をすることに、莫大なコストとリスクが存在したからです。
私が社会人になった頃は、終身雇用が当たり前でした。「脱サラ」は一世一代の大博打。もし失敗すれば自殺して保険金で落とし前をつける。コンビニの加盟店になるのでも、それくらいの覚悟が必要でした。
しかし、今や数十万円の資金があれば、会社は設立できます。オフィスは月貸しで、バックオフィス業務はアウトソースすることが簡単にできるようになりました。起業のリスクはほとんどゼロです。
必要な人材は業務委託契約で優秀な人に仲間に入ってもらい、バーチャルに業務を遂行すれば、スピーディーかつ効率的な意思決定が可能です。リターンには上限がありません。
会社という高コストの組織は、巨大な資本や高い信用を必要とする事業をやりたい人を除けば、必要性が薄まってきました。
高コストの会社で働いている優秀な人たちは、未だに自分の能力で本来得られる収入から会社の維持コストを負担させられ、本来得られる収入を削り取られています。とても、もったいないことです。
会社を辞めて独立するのは、随分低下したとはいえ、今でもリスクである事は確かです。しかし「リスクを取らないリスク」も存在していることを忘れてはいけません。
同じ会社に勤務しているうちに、その会社でしかつぶしのきかない人材になってしまう。シニアになって、定年近くにふと気がつけば、他の仕事ができないスポイル人材にされてしまうリスクがあるのです。
起業して飢え死した人はいないと独立当初よく言われました。
会社で働き続けることと独立して働くこと。生涯で考えた場合、どちらがリスク・リターンの割に合うか。よく考えてみることが大切です。
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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2019年4月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。