薬物バッシング一辺倒の流れを変えた!ファンと音楽の力

田中 紀子

電気グルーヴのファンや応援団の皆さんの発信が様々なところで取り上げられていますが、この記者会見本当に素晴らしかったと思います。

電気グルーヴ作品の出荷・配信停止に反対 発起人ら会見(全文1)6万4606人分の署名を提出(The Page)

この全文長いですけど、是非是非多くの方に読んで頂きたいなと思います。

会見の中で私たち「依存症の正しい報道を求めるネットワーク」と荻上チキさんとで作成した「薬物報道ガイドライン」についても触れて下さっていて、すごく嬉しく思いました。度々、回復して復帰する道を作った方が良いとおっしゃって下さっているのもすごく心強いです。

まさかこんな風に、音楽関係者の方々が記者会見されて、我々と同じ目線で主張をして下さる日が来るなんて思ってもみなかったです。今回は石野卓球さんのコンビ愛がさく裂したこともすごく大きかったと思いますが、やはり行きすぎた自粛ムードには、多くの方々が疑問をもっておられたんだなと、我々としてもホッとした気持ちです。

これまでこういったことを依存症業界でいくら発信しても、罵詈雑言を浴びせられるだけで、理解される気配すらありませんでしたからね。それがここに来て相変わらずのテレビ報道もありますけど、こうした方向転換も起きました。
ファンの力そして音楽の力は実に大きいと感嘆しております。

今思ってもASKAさんの時が一番ひどかったですよね。
のちに謝罪しましたけど、未発表の曲をミヤネ屋が勝手に流したり、
井上公造氏、ミヤネ屋でASKAに謝罪 楽曲無断放送「もう少し別のやり方あった」(J-CASTニュース)

タクシー会社がドラレコに写っていたASKAさんの様子をテレビに提供して大ひんしゅくをかい、のちにこのタクシー会社も賠償命令をだされましたが、
ASKAさんの映像を無断提供 タクシー会社に賠償命令(朝日新聞)

薬物やった人間には何をやってもいい!抹殺しろ!という機運が、一般市民にまで蔓延していたことを考えると、テレビの力は本当に恐ろしいですね。

今回、卓球さんのブレないツイート→DOMMUNEさんの5時間ライブ→「麻雀放浪記2020」のノーカット公開→そして署名活動と、これまでの流れとは大きな変化が起きたわけですが、ではASKAさんはどうなったのか?と思ったところ、実はこちらも絶好調だったので嬉しく思っています。

ASKAさんのHPを拝見した所、なんと「ASKA CONCERT TOUR 2019 Made in ASKA – 40年のありったけ – 」の追加講演が、しかも武道館等の大バコで決定しているじゃありませんか!

Fellows ASKA Official Web Site

出版した書きおろし詩集もめっちゃ評判よく売れてますよね。
当初はレコード会社も決まらず、苦戦されたようですが、結局ご自分でレーベルも立ち上げられ、蓋をあけたら待っていた応援団が殺到した!ファンの方々って我々にとっても本当にありがたいと思いますよね。

ただ私たちの啓発も実に地味ながら決して無駄ではないと思っています。
今回、「薬物報道のガイドライン」もかなり取り上げて頂きましたし、着実に礎は築いてきたなと思います。

これからも我々は地道にコツコツと、圧倒的な力を持つ音楽ファンに助けて頂きながら、理解や啓発を広めていきたいと思います。


田中 紀子 公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)です。 著書:「三代目ギャン妻の物語」(高文研)「ギャンブル依存症」(角川新書)「ギャンブル依存症問題を考える会」公式サイト