令和の時代がやってきた

日本の歴史の本を読むとその多くは時代という背景を意識したものが多い気がします。鎌倉時代、戦国時代、江戸時代、明治時代、昭和は戦前と戦後という二つの顔、そして平成といった具合です。それら特徴づけは終わったからできるのであってこれから迎える令和の時代は全くの白紙。つまり、われわれ日本人が歴史を作るためにこれから白いキャンバスに絵を描いていくのです。

さて、どんな絵になるのでしょうか?

(写真ACから:編集部)

(写真ACから:編集部)

絵具とも言える材料はいくつか思い浮かびます。少子化、高齢化、テクノロジーの発展、経済の低位安定成長、膨れ続ける財政赤字、東アジア諸国、東南アジア、アメリカなどとの国際関係の展開…がぱっと背景として思いつきます。

考えてみれば近年の歴史において時代の変化の際にはある激動期を潜り抜けてきています。江戸も明治も昭和も平成もそうでした。大きなうねりの中で向かうべきところを探し、もがいたのが新時代の入り口だったかもしれません。その点、令和の入り口は実に穏やかで心地よい日差しの中、人々がかつて以上に平和を感じている点は過去と大きく違っています。

私が思う令和の時代は基本的には安定した時を過ごせるのではないかと思っています。安定とは裏返すと保守的とも言えなくもないのですが、これは高齢化社会の中で大きな変化に対して強い抵抗が生まれやすくなり、日本がより成熟国として争いごとを好まない崇高さを磨き上げると考えているからです。

例えば過去の時代のように戦争が起きるのか、といえば部分的なものはあるかもしれませんが、全面戦争は今の国際社会の枠組みを考えればまず起きないでしょう。それはそれをするコストがあまりにも高いこと、それ以上にほとんどの先進国の国民は戦争を遂行できる精神力は持ち合わせていないからです。

経済はどうでしょうか?経済の波というものは必ずあります。景気循環とも称しています。リーマンショックやバブル崩壊のように人為的とも言える政策の失敗により引き起こされたものもありますが、一般的にはこの循環の波は小さくなってきています。これは日本を含む先進国全体が富裕状態にあるからだと考えています。今、日本は異様に長い好景気を享受してるのですが、誰も好景気だと思っていません。これは波が小さいからなのです。今後もこの小さい波で低めの成長率がある程度は維持されるものと思われます。

文化はどうでしょうか?テクノロジーに支えられ、一人ひとりに更なる趣味や文化への覚醒が進みやすくなりそうです。趣味のコミュニティーであったり、SNSを通じて何かやってみようという気持ちを引き出してくれやすくなるとみています。これは今までが社会全般というくくりの中の流行だったものが人それぞれが個性を出し、自分の人生の絵図を描ける時代になったことを意味します。

これらを総合的に考えると令和は「令和元禄」かな、と思っています。

江戸時代の中期である元禄文化は江戸という時代の立ち上がりを経て経済の勃興とともに上方を中心とした優れた文化や伝統など現在に至る日本的テイストの原型を作ったといっても過言ではありません。元禄文化の発展の背景は侍が戦いをしなくてもよい安定期にあったことが最大の背景でありました。

日本が今、世界に誇れることとは何でしょうか?強い文化的背景と高い教育レベルの中で世界の人が持ち合わせていない穏やかさ、まじめさ、開発能力、自己啓発を多くの人が均等に持ち合わせている点でしょうか?海外にも多くの天才、秀才はいますが、日本は国民全般が高いレベルの才能を持っているところが大いに違います。

令和、私は開花する時代だと思います。人が人として最高の人生を送る開花です。世界がうらやむよい時代になること、期待しています。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年5月1日の記事より転載させていただきました。