ビジネス講演家にも存在する「商品原価」とは?

こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
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2018年の年末からコンスタントに講演、セミナーの依頼を頂くようになりました。最近では月1回、多いときで2回のペースで人前でお話をさせて頂いています。ビジネス講演をやる前と、やった後で分かった違いについてお話したいと思います。

写真AC:編集部

ビジネス講演家にも商品原価が存在する

私は昔、こんなことを考えていました。「ビジネス講演家っていい仕事だな。話をするだけで無から有を生み出せるんだから、在庫リスクもないし利益率も高い」と。しかし、自分がその仕事をするようになって大きく考えが変わってきました。

なぜなら、ビジネス講演家にも商品原価が存在することを知ったからです。それは「勉強」と「時間」です。

講演というのは情報やノウハウを売る仕事です。一度出来るようになったことをただ話すだけでいい、というのはとんでもない思い違いです。時が過ぎれば情報やノウハウは陳腐化します。最新の正しい情報を伝えるためには、自分でその情報やノウハウの正確性の裏取りをしたり、必要に応じて勉強をすることになります。

私は講演に登壇する時に本を買ったり、情報を購入して勉強し、実践し、その結果をノウハウとしてお話をさせてもらったりしています。あまりのめり込んで準備をすると、「原価>講演料」となってしまい、赤字になることもゼロではありません。また、最近ではかなり慣れてきたのですが、最初の頃は本番前に通しで話す練習を繰り返していたので、その時間もかかります。

このようにビジネス講演をする際にも、商品原価は確実に存在します。どんな仕事もおいしくて楽なものはないのです。

飽きられたら即お払い箱になる緊張感

私は今、毎月特定のクライアントに登壇の依頼を頂いたり、新規のクライアントから声がかかってセミナーに出たりしています。そこで感じたことは、「一回一回が勝負」という緊張感です。

もちろん、どんな仕事でも信用がすべてです。私は講演活動の他にもフルーツギフトや英語教育ビジネス、ジャーナリストの仕事をしており、もちろん顧客満足度100%を目指して真剣に取り組んでいます。

しかし、こと勝敗の大きさが講演家の場合はかなり大きいのです。もしも手抜きをして、話を聞いている側がつまらないと感じたら即次からは講演に呼ばれなくなってしまうでしょう。実際、そのように姿を消していった講演家の先輩たちの姿は山のように見てきました。

ですので、勝負の真剣さはほかのビジネスと変わらないレベルで、いやさらにそれ以上のレベルで取り組まなければ、たちまちクライアントから愛想を尽かされてしまいます。

「ビジネス講演家は楽で原価もいらないからいいなあ」と昔はのんきに考えていましたが、やってみると未経験の時には思いもしない厳しい世界であることを痛感しています。幸い、今のところどの講演も参加者の満足度は9割を超えているので、コンスタントに呼んでいただいています。

講演家は素材が9割

そしてビジネス講演は素材が9割です。もちろん、話し方がうまく、聞いている側が楽しいと感じてもそれは評価の一要素でしかありません。講演はハリウッド映画ではありませんから、最終的に求められるのは「役に立ったか?立たないか?」という一点に尽きるでしょう。

ですので、やはり講演家は商品原価としての「情報」「ノウハウ」という素材で勝負をするビジネスだと感じています。もちろん、それを聞いている側に飽きさせず、分かりやすく伝えるのは採点範囲外の「当たり前」としてのポイントであることは言うまでもありません。

いつ聞いても進歩なしで、同じことばかり話している人はやがて聴講者から飽きられ、呼ばれなくなり、姿を消していくでしょう。

一番の素材は「体験談とデータ」

ビジネス講演をする上で聴講者が一番求めているのは、「役に立つ」ということです。もっとも喜ばれ、身を乗り出して話を聞いてもらえるのは「体験談とデータ」に他なりません。

私の場合はネットマーケティングや、投資の話で講演をさせてもらっています。その際、実際に私が実践して得たデータや、生々しい体験談を話すと一番喜んでもらえます。なぜなら、そうした身をもって得た体験談は他では手に入らない、その人からしか得られない「一次情報」だからです。

データや体験談を得るためには、情報やノウハウを収集して、自分で実践することが求められます。そうしたことをせずに検索して出てくる記事の内容をまとめて、口から出すような講演をしても面白くもなんともありません。そう考えるとやはり、ビジネス講演家は仕入れる商品がものすごく重要だと痛感します。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

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