護憲VS改憲から、どう改憲するかに一歩足を踏み出しては?

この通常国会の会期では国民投票法の改正くらいが精一杯だと思われるので、与野党共に余り無理をされないことである。

本番は7月の選挙が終ってからだ、くらいに思っておかれると、何となくゆとりが出てくるはずだ。

一部の方々は、7月の選挙を何としても護憲・改憲の戦いにして、あわよくば改憲の動きを封じ込めて、安倍内閣の打倒まで実現したい、と目論んでおられるようだが、まずそういう目論見はあっという間に外されてしまう。

自民党の支持率や安倍内閣の支持率が急落するような兆しは目下のところ皆無だから、7月の選挙が終わっても大勢には変化がない、と言っていいだろう。蹴散らされてしまうのは、どうやら野党の皆さんのようである。

7月の選挙が終れば、護憲・改憲の戦いから一歩前に足を踏み出すことになる。どのように改憲するか、現在の憲法のどこをどういう風に改正するか、の知恵の競争に転化するはずである。

「憲法改正ハンターイ」の一言だけでは、7月の選挙後は通用しなくなる。

良識派を自称される方々は、そろそろご自分の物言いを改められた方がいいだろう。

くれぐれも、時代に取り残されませんように。

「時代に合った憲法を創る。」
そろそろ、そういう時代になるはずだ。

穏健保守の政治家は、じわじわーっと社会をより良い方向に変革することを志向するもの

「あたらしい時代、大きな和をつくろう」というのが、私が自分自身の最後の国政選挙で掲げたスローガンである。

10年前の衆議院選挙で自分のポスターにそう書いた。自民党が国民の支持を失いつつあることを肌で実感し、民主党の台頭を予感してそう書いた。当時の民主党には政権担当能力などないことは十分に承知していたが、それでも政権交代準備完了などと吹聴している民主党に大方の国民の支持が流れるだろうと思って、自民党と当時の民主党が力を合わせてこそ新しい時代が拓けるはずだ、と思って、「あたらしい時代、大きな和をつくろう」と書いたのである。

未熟な民主党の方々に国政を委ねない方がいいのだがな、と思いながら懸命に衆議院選挙を戦い、案の定敗れた。
私も敗れたが、自民党も敗れて政権の座から滑り落ちた。

民主党に政権が移ってからどういうことになったかは、皆さん、ご承知のはずである。私にとって忌まわしい記憶でしかない。

しかし、だからと言って、今の自民党に無条件でエールを送ることはしない。
いいところもあるが、足りないところ、明らかに間違っているな、と思うところもある。

私の念頭にあるのは、今もこの言葉である。

「あたらしい時代、大きな和をつくろう」

令和の時代になって、益々この言葉が私の中で大きくなっている。

穏健保守の大きな塊を作りたい、という願いが少しづつ大きくなっている。

「時代に合ったあたらしい憲法を創る」という本を上梓したのは、20年前である。

私は、時代よりほんの一歩だけ先を歩んできたような思いをしている。

法律事務所の法人化制度導入然り。
当番弁護士制度や被疑者国選弁護制度の導入然り。
凶悪重大犯罪についての時効廃止然り。
組織的犯罪共謀罪の創設然り。
民法722条の改正と再婚禁止期間の縮減然り。
18歳選挙権導入と18歳成人制度導入然り。

次に来るのが、憲法改正問題のはずである。

今、自民党が検討している憲法改正項目は20年前の私の本では言及していないことばかりだが、時代に合ったあたらしい憲法を創ろうという志自体は、それなりに生きているはずだ。

じわじわじわーっと少しづつ世の中の在り様を良い方向に変えていくのが、穏健保守を標榜する政治家の真骨頂だと思っている。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2019年5月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。