4月のはじめに、「菅官房長官を次期総理というのが安直すぎる理由」という記事のなかで、こんなことを書いた。
しかし安倍首相の外交の見事さをみるにつけて、後任者はつらいところだ。とくにトランプ大統領と同じようにうまく行く人はいない。そこで、トランプ大統領が再選された場合には、ひとつの知恵として過渡期的な「総総分離」はどうだろうか。
安倍首相は4選は目指さない。ただ、首相はしばらく続けるということだ。そして、後継総裁は、副総理として入閣し、アメリカの副大統領のように、外交にも参加して経験を積ませてはどうか。
そして、1~2年の過渡期を経て、ほどよいポイントで首相の座を引き継ぐということだ。
そういうやり方だと、もっとも円滑なので無いかと思う。
そして、このアイディアを政界関係者に話していたら、なかなか好評なのでもう少し詳しく書きたい。
自民党の総裁任期切れは、2021年9月だ。これはどういう時期かというと、2020年の11月にアメリカ大統領選挙があって、もし、トランプが再選されれば、2021年の1月に二期目の任期が始まるから、そういう時期に首相が交代する、あるいはレイムダックになっているのは好ましくない。とくに、トランプと蜜月の安倍首相を交代させたくないところだ。
しかし、かといって、党則を変えて四選するというのも少しやり過ぎな気もする。そんなことするくらいなら、再登板の余力を残していったん辞めた方が良いともいえる。
そこで、私のアイディアは、岸田さんでも菅さんでも他の誰かでもいいが、しばらくは、安倍首相に続投してもらい、総裁任期のどこかで交替するという公約で総裁選挙を戦ってもらうことだ。
そうして、新総裁は副総理なってある程度の権限委譲を受け、外交の一部も分担するなど慣らし運転をし、頃合いを見て交替すればいい。あくまでも一時的なものだから、総総分離とは趣旨が違う。
実はこの方式は中国とドイツでやっているのだ。 習近平は、2012年11月15日に高指導者、党総書記となり、翌年の3月14日に国家主席を引き継いでいる。
また、メルケル独首相は、昨年12月にアンネグレート・クランプ=カレンバウアー元ザールランド首相にCDUの代表の座は譲り、首相は2021年まで続けると声明している。
こういうやり方だと、総裁任期とか衆議院の任期満了とかに煩わされず、純粋に外交などの都合が良い時期に交替できる。また、後任者も十分な準備ができているし、国民のほうも安倍ロス現象もなくなるのでほどいいのではないかと思う。いつ交代かといえば、三年の任期のうちの半ば頃までにはということではなかろうか。