「少しは自分の頭で考えろ」期待の新人をつぶす老害アドバイス

こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
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どこの会社でもよく見られる光景に「少しは自分の頭で考えなさい!」と新人を叱りつける上司の姿があります。私も入社したばかりの会社で、散々頭をひねった挙げ句、手元に情報がないために答えを導き出すことが出来ず、質問をしたらかのような答えが返ってきた経験があります。

そのことを思い出し、思わずTwitterで次のようにつぶやいてしまいました。

写真AC:編集部

「新人が自分の頭で考える」という最高のムダ

会社に入ったばかりの新人が何もかも自分の頭で考える、というのは最高の非効率です。仕事というのは改善を積み上げるプロセスで出来ています。前任者から仕事を受け取ったら、次の人がその仕事に改善を加えてより良いものにしていきます。そのため、「自分の頭で考える」事が求められる局面は必ずやってきます。

しかし、それを新人の頃から求められるとなると話は異なります。なんせ新人は真っ白な状態です。「創造性は詰め込みから生まれる」が私のモットーで、なにもないところに芽は出ないのです。革新的な発想や改善は、別角度からの知識や経験などから生まれるものです。別角度を持たない新人に考えさせるというのは、何も生み出せない思考の時間を強要するだけの精神的なイジメです。

そんなムダなことをさせるヒマがあるなら、会社で蓄積したナレッジを取り込ませて、一日も早く自分の頭で考えて行動できる人材に育てるべきだと思ってしまいます。

「自分の頭で考えるな」は起業の世界でも常識

これまでにない、価値あるビジネスを生み出す立場の起業家の世界でもそれは同じです。

私は新しい事業や、マーケティング手法、ノウハウなどが必要になったらまずはその情報や知識をまるごと買うところから始めます。自分の頭で考えて、「思いついた思索を数撃ちゃ当たる」をやってしまうと時間のムダです。やらなくてもいい前人の失敗を知り、失敗の要素を回避することこそがムダを省き、顧客にとっての価値提供につながるビジネスになります。

まずは必要なノウハウや知識、情報を外部からインストールするように自らに取り込み、とにかく最初は売れる、需要のあるビジネスをするべきです。自分流に変えるのは、売れるようになったその後ではないでしょうか。まずは最低限ビジネスとして成り立つところまでアップデートするためにも、最初から何から何まですべてを自分の頭で考える、ではいけないのです。

ビジネスは効率性を求め、収益を追求する行為である

起業家でもサラリーマンで、ビジネスに携わるすべての人に求められているのは、限りある経営資源を効率的に活用し、結果として利益を最大化させるということです。ビジネスは制約の中でするものです。限られた資金、人材、情報の中でもっとも効率のよい道を模索し、利益をあげていく必要があります。

そのビジネスの原理原則に反して、「自分の頭で考えろ」と新人をイジメても、生まれるのは新人の退職という人的資源流出という経営コストの肥大化です。

最低限、仕事が出来るだけのナレッジシェアリングを行った後に、「自分の頭で考えなさい」をうるさく言うべきではないでしょうか。最初からいきなりそのような無理難題を押し付けるのは、クリエイティビティは体系化された知識や経験から生まれるものという論理に反する、単なるイジメに過ぎません。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。