読点を加える、一行加える、読みやすさアップの秘訣とは?

尾藤 克之

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長い文章の場合、相手に誤解されることなく、スムーズに読ませるために、必要になるのが句読点です。

今回は、14冊目となる著書『3行で人を動かす文章術』(WAVE出版)のなかから関連するエッセンスを紹介します。

句読点は文章を区切るもの、ということは小学生でも知っていますが、打ち方については明確なルールはありません。しかし、その打ち方で、文章の読みやすさは大きく変わってきます。具体例で見てみましょう。

<読点の数、一行加えた効果を比較する>
A.読点が1つ
バブル絶頂期の1989年12月29日、日経平均株価は終値で3万8915円を記録し誰もが1990年以降の拡大を疑いませんでした。

B.読点が2つ
バブル絶頂期の1989年12月29日、日経平均株価は終値で3万8915円を記録し、誰もが1990年以降の拡大を疑いませんでした。

C.読点が3つ以上
バブル絶頂期の1989年12月29日、日経平均株価は、終値で3万8915円を記録し、誰もが、1990年以降の拡大を、疑いませんでした。

どれが読みやすかったでしょうか?Aは一気に読ませたい場合に効果的です。Bは文意も明瞭で、心地よいリズムになっていますね。Cは読点が多すぎて、リズムも悪く、バラついて見えます。

また読者の興味を惹き続けるためには、ストーリーにするのも一つの方法です。たとえば、車を買ったという一文でも、

「今月、ロータス・ヨーロッパを買いました」

この一文だけでは誰も関心を持ちません。一般の人にとっては、単なる事実報告でしょう。では、次のようにするとどうでしょうか。たった1行付け加えただけなのに、大きく印象が変わりませんか?

「今月、ロータス・ヨーロッパを買いました。子供のころ、風吹裕矢にあこがれていました。スーパーカーが流行った昔からの夢でようやく念願がかないました」

SNSは何を書いてもいいんじゃないかという人がいます。確かにSNSは自分の好きな情報を気軽に発信できるメディアです。しかし、中には、自分の考えや主張を世の中に広く発信したいという人もいます。その場合は書き方を考える必要があるはずです。

<参考書籍>
3行で人を動かす文章術』(WAVE出版)

尾藤克之(コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員)