すべての記事には意味がある

カーペンターズの「イエスタデイワンスモア」が好きだ。ここ数ヶ月で、かなりのCDを手放したのだけど、10代の頃に買ったカーペンターズのベスト盤は手放せないアルバムの一つだ。この曲の主人公のように、私は9歳くらいからかじりつくようにラジオを聴いており。お気に入りの曲が流れるのを待っていた。


特にファンというわけでもないのに、よく聴いていた曲というものがある。たまに口ずさむ。The東南西北の「ため息のマイナーコード」もそんな曲である。この曲くらいしか知らない。いま、調べてみると復活しているようで。さらに、ボーカルは久保田洋司さんだったんだと。ANTHEMのギタリストであり、ジャニーズなどに楽曲提供している清水昭男さんとトラジ・ハイジの「ファンタスティポ」をつくった人でもある。

いつも、本が出るたびにおくりつけている大学の後輩いきものがかりの水野良樹さん(送付先のエクセルに部署名:いきものがかり 役職名:リーダー と書くたびに苦笑いする)は、インタビューなどによると「歌われる曲をつくりたい」という想いを持っているのだという。この観点は大事で。バンド名すら知らなくても、その歌はなにかを変えるかもしれない。

先日、取材して頂いたライターさんは、自分の書いた記事が読まれるかどうかという虚しさを抱いていたそうで。「私はいくらマスゴミと呼ばれようとも、紙媒体がオワコンと言われようとも、取材依頼は基本、断らない。どんな小さな露出であれ、誰かの目に止まり、社会を変えるかも知れないからだ」と答えたのだけど。その後、講演会に来て頂き。その言葉が刺さっていたようで。

写真AC:編集部

私は、ウェブメディアが台頭する前に広報担当者をやっており。どんな小さな業界紙の取材でも、全国紙記者が元ネタにしていたりし。それで大露出につながることもあり。いまのネットもそうだ。小さな露出でも元ネタになると。あと、クリッピングで政党、官庁、自治体、経済団体、メディア関係者などが読んでいるので、届くし、何かを変える。

あなたの仕事はきっと、誰かが見ているし、何かの役に立つ。どんな小さな記事も。私が思わず、それほどファンではないこのバンドの曲を思い出し、口ずさんで、何かこう懐かしい気分にひたれるように。

明日配信の常見陽平メルマガより、ややフライング気味に転載。


編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2019年6月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。