上田埼玉知事:四面楚歌ではないが、重大な岐路に差し掛かった

早川 忠孝

一寸先は闇、という言葉は永田町の専売特許ではない。

天の時、地の利、人の和が揃わないとこの窮地を脱するのは難しいだろうと思っているが、埼玉県知事の上田氏がどんな魔法を使うのかに注目している。

左から、大野氏(国民HP)、上田氏(県HP、行田氏(公式HP)=編集部

前回の知事選挙とは様変わりである。

様々な修羅場を潜ってきたはずだから、何とか対処策を見付けるだろうが、普通なら孤立無援になりそうな無謀な戦いは回避するものである。全国知事会長という名前を穢さないで済むようにするためには何をすればいいか、ということを普通は考える。

上田知事は自民党埼玉県連とは長年確執を続けてきた人だから、自民党支持者の中に多少の支援者がいたとしても、自民党がそれなりの候補者を擁立して全力でその候補者を応援するようになれば、どうしても苦しい戦いを余儀なくされるはずだ。

上田知事の頼りは、なんといっても旧民主党の支持者だったり、無党派層の有権者だったと思うが、今や埼玉の旧民主党は千々に乱れていると言わざるを得ない。

しかも、旧民主党系の国民民主党から大野氏が無所属で知事選挙に名乗りを上げることになり、さらには同じく旧民主党系の希望の党を離党して行田さんが無所属で同じく知事選挙に名乗りを上げるという。

いくら選挙上手と言われてきた上田知事でも、ここまでのことは予想していなかったはずである。
組織的基盤が大してない上田知事の頼りは、事実上無党派の市民層だけということになるのだが、その無党派層の票は今回は自民党が出馬要請をすると言われている人に流れそうである。

いくら選挙には強いと言われる現職の知事であっても、この戦いを戦い抜いて勝利を収めることは至難の技である。
四面楚歌とまでは言わないが、上田知事は日を追うごとに孤立無援になっていくのかも知れない。

上田知事が既に70歳を超えているという事実や、前回の選挙では自ら策定した多選自粛条例を反故にして立候補してしまったという批判などがこれからじわじわと効いてくるはずである。

そろそろ、これからどうするか、ということを真剣に考えた方がいいだろう。

晩節を穢さないために、何をすればいいか。

多分、上田知事は気が付いているはずだ。

これからどういうことが起きるのかに注目している。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2019年6月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。