私は一応、家計簿をつけています。ここ何年も支出傾向はほぼ変わっていないので特段、驚くことは何もないのですが、管理という仕事がしみ込んでいるので家計も惰性でやってしまうのでしょう。その家計簿にはキャッシュ払いとカード払いが仕分けされているのですが、この一か月、一度も現金を銀行から引き落としませんでした。そして驚くことに最後に下ろした現金がそのまま全額財布に残っていました。つまり、キャッシュ払いを一度もしていないことになります。
日常生活で支払いが発生するのはスーパーなどでの買い物、飲食、コンビニでの小口払い、ガソリン、交通費などが定常払いだと思います。私の場合、一種類のクレジットカードだけで全て払います。理由はカードの請求書が支払いリストになるからです。
日本のクレジットカードにはまだ普及されていないケースもあるのですが、北米のカードにはICチップが入っています。このICチップがあればクレジットカードないし、キャッシュカードでは100ドルまでカード読み取り機をタップするだけで支払いが終わるのです。
タップとはカードを端末の画面に一瞬タッチする感じ。そうするとピッっという音で反応し、支払い完了となります。どこかに差し込んだり、暗証番号を入れる必要はありません。正直、アップルペイより早いです。カナダで見ている限り、スマホのソフトで払う人はほぼいません。クレジットないし、キャッシュカードのタップによる支払いがあまりにも便利だからでしょう。
キャッシュレスに対して高齢者は慣れていないというコメントをよく耳にします。それは日本でスマホを使ったキャッシュレスを推進しようとしているからだろうと思います。これでは確かにハードルがあります。一つには携帯電話ではできないこと、二つ目には高齢者のスマホ使用において通話とテキストを超えた使用は案外ハードルが高いこと、三つ目に高齢者が好む店舗に端末がないことがあります。
もしもクレジットカード、ないしキャッシュカードでピッと払えるなら高齢者でも簡単です。スマホによる支払いは中国で急速に普及したものでそれを日本が真似しようとしているのでしょう。北米では前述の通り、タップ払いが主流です。
交通機関はどうでしょうか?当地はバスと電車の運行は一つの会社が行っていますのですべてのシステムが共有されています。支払いは専用のカード(スイカのようなもの)を買い、それを使い続けるか、クレジットカードで直接改札を通ることもできます。(これは進んでいますよね。)チャージはパソコン画面からクレジットカード払いでチャージします。情報がそこに記憶されていますからチャージ用のウェブサイトに入ってからチャージ完了まで30秒もかかりません。
日本の交通機関系カードの問題はチャージするのに通常は駅で現金がいるのです。これがまどろっこしい。調べるとパソコンでクレジットカードチャージが出来たらしいのですが、このサービスを止めるようです。時代に逆行です。これではキャッシュがいるキャッシュレスなんです。ほとんど意味がない。
キャッシュレスが浸透するとレジで並んでいてキャッシュで払う人はこんなに時間がかかるのかと実感します。金額見て財布出してお金のやり取りしてお釣りを財布にしまって、という一連の作業は確かにない方が顧客にも店にも便利なのかもしれません。
そのうち、香典も結婚祝いも端末に金額を入力してタップ払い、ということになると思います。えっ、そんなことはあるわけないって?いやいや、私たちが棺桶に入るときは香典を払うピッって音がしますよ。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年6月11日の記事より転載させていただきました。