報告書受取拒否:これが“麻生マジック”のつもり?

数ポイント自民党の支持率が下がってもおかしくないようなことが起こった。

自民党にもそれなりの手品師がいるとは思っていたが、さて、これは何らかの手品とかマジックと言えるだろうか。

財務省ツイッターより:編集部

一旦見えたものを都合が悪いからと言って急に引っ込めたり、内容を書き換えたりすれば信用を失うことは必至だと思うが、政府は「高齢社会における資産形成・管理」に言及した金融庁の審議会が取り纏めた報告書を受け取らないことにしたようである。

自民党の国対委員長は、件の報告者はもうないのだから予算委員会を開催して審議する必要はない、などと述べているようだが、予算委員会は開催しないまでも、年金問題について議論する場を設けないまま通常国会を閉会することの是非は問われるべきだろう。

金融担当大臣の麻生さんは、報告書は受け取らない、と断言したようだが、受け取らないから報告書がなくなるというものではない。 政府として都合の悪い報告書は受け取らないでもいい、ということが先例化すると、政府の設ける審議会の報告書は大体は政府の求める方向で取り纏められた忖度満載の報告書になってしまう虞がある。

政府にとって不都合な情報は一切記載されないか、霞が関文学を駆使して真実を巧妙に糊塗した役に立たない報告書になってしまう虞がある。

ふーん、これが麻生マジックなのか、と呆れてしまうが、こんなところに今の政治の劣化が顕われている。

頭隠して、尻隠さず。
手品の種が観客にはとっくにバレている、といったところか。

参議院選挙を目前にして、麻生さんはじめ自民党の幹部の方々が突然失策をしてしまったようだ。
自民党にとって決して致命傷ではないが、しかし、かすり傷とも言えない。

観客がブーイングするような拙劣な手品の類は、くれぐれもしないことである。
これで自民党は多少支持を減らすだろう。
もっとも、これで野党の皆さんが得点するわけでもないが。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2019年6月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。